レクチャー-3
「じゃあ、どうやんだよ」
広瀬が憮然とした顔で陽介を睨む。
「まず指先に愛液をつけて滑りをよくするんだ」
陽介は手際よくあたしの上に覆い被さると、またとろけるようなキスをした。
そしてキスが胸に降り、乳首を舌で優しく優しく転がしていく。
その合間に右手はしっかりあたしの秘所をとらえ、ゆっくりと出し入れを繰り返していた。
「んっ、あっ、ああっ……!」
「で、クリトリスにそれを塗りたくる」
「やっ……!」
「クリはすげー敏感だから、触れるか触れないかぐらいの強さでそっと触ってやれ。舐める時も同様な。とにかく優しくだ」
陽介は言葉通り、絶妙なさじ加減であたしのクリトリスを撫で上げる。
円を描くように、時に弾くように、チュクチュクと淫らな音をわざと立てながら。
ムカつくけど、陽介はやっぱり女の身体をよく知っている。
そしてあたしは、陽介に翻弄されながらも、ジワジワと絶頂へ昇りつめる所だった……が。
「はっ……ん、んあっ、……あんっ!」
もう少しでイク、そんな時に陽介はその手をいきなり引っ込めたのだ。
え……?
いきなりおあずけを食らわせられたあたしは、息を切らしながらも間の抜けた顔で陽介を見た。
なんで?
頭の中は疑問符だらけ。
陽介はそんなあたしを無視すると、ジーンズのポケットから携帯を取り出した。
「あー、なんかムラムラしてきたから、俺、帰って彼女とヤってくるわ。つーわけだから、羽衣。お前しっかり広瀬をレクチャーしてやれよ。じゃあお先〜」
と、わざとらしい笑顔をこちらに向けてから、おそらく彼女へと電話をかけたのだろう、携帯を耳にあてながら部屋をあとにした。
陽介の行動がさっぱりわからず、しばらくは陽介が出ていった玄関のドアを眺めるしか出来なかった。
残されたのは不完全燃焼のあたしの身体。
もう少しでイケるとこだったのに……。
ゆっくりと広瀬を見れば、彼はそんなあたしをぼんやり眺めて脱力したように座り込んでいた。
好きな人に痴態を見られ、逃げ出したい反面、物足りない身体が広瀬を求めている。
あたしは身体をゆっくり起こすと、
「広瀬……、ベッドでシたい……」
と言った。
正直な自分の気持ち。
ズルいけど、この流れなら広瀬を求めても好きな気持ちはバレない。
これでホントに諦めるから。
だから、一度だけ広瀬に抱かれさせてください。
そして、あたしはまっすぐ広瀬を見つめる。
「羽衣……、いいのか?」
「だって、レクチャーしろって陽介に頼まれたし……。広瀬は、あたしが相手じゃ嫌?」
「……んなことねえよ」
「んじゃ、続きシようよ。あたし、広瀬とシたい」
あたしがそう言うと、広瀬はその筋肉質の腕であたしを抱き上げ、ゆっくりと横たえた。