レクチャー-2
なのに、陽介はお構い無しに広瀬に話し掛けている。
「ほら、広瀬。どこに挿れるかわかるか?」
陽介が訊ねると、広瀬は少し逡巡した後に、ユラリとあたしの脚の間に近寄り、クレバスにいきなり中指をズブリと埋め込んだ。
「あんっ」
広瀬の指があたしの中に入ってくると、たまらず声を上げてしまう。
「すっげ濡れてる……」
広瀬が驚いた顔であたしを見下ろすと、あたしはすぐさま両手で顔を覆った。
広瀬には、こんなとこ見られたくなかった。
想像では広瀬に抱かれることなんてしょっちゅうなのに、いざ本人の前では、こんなはしたない格好を晒されると恥ずかしくて死にそうになる。
しかし、陽介がわざとあたしの手首を掴んで火照る顔を露わにする。
「よ、陽介……やめて……」
「羽衣もこうして見ればめちゃくちゃ色っぽいな。そう思うだろ、広瀬」
陽介の軽いノリがムカついてたまらない。
茶化す陽介に対し、広瀬は真顔であたしの顔をジッと見つめてきた。
「ひ、広瀬……」
陽介を止めて、と言えば、優しい広瀬はすぐさまこんなバカな真似を止めさせてくれるはず。
なのに、真剣な広瀬の顔に胸が高鳴ったあたしは、それが出来なかった。
バカやってる時の無邪気な笑顔も大好きだけど、こんな風に真面目な顔を見るとそのギャップがたまらなくて、頭がどうにかなりそうだった。
そして、あたしは自分の気持ちを再確認する。
やっぱりあたしは、広瀬が好き……。
想いが込み上げてきたあたしは、潤んだ瞳を揺らしながら、
「広瀬……お願い。キスして……」
と懇願した。
その瞬間、あたしの口の中に彼の舌が入ってきた。
「んんっ!」
夢にまで見た広瀬とのキス。
陽介の場慣れしたキスとは違って、荒々しくもぎこちない広瀬のキスは、途端にあたしの全身を溶かしていく。
不器用で、でも熱くて。
好きな人とのキスはこんなにも気持ちがいいのかと、あたしは夢中で広瀬と舌を絡ませ合っていた。
熱いキスに、自然と身体がムズムズしてくる。
もっと、もっと、広瀬が欲しい。
陽介は、そんなあたしの気持ちを見透かしたように、
「広瀬ー、羽衣が触って欲しいって身体くねらせてるぞ」
と、冷やかした口調で言った。
もう、陽介のからかうような口調なんてどうでもよくなった。
陽介の言ってることは事実なのだから。
広瀬の手が、胸をなぞり、臍を撫で、再びクレバスに到達すると、あたしの秘所をクチクチとかき回し始めた。
「ああんっ、あっ……」
広瀬があたしに触れている、それだけで身体は熱くなるけれど、なまじ男に抱かれた経験が、ちょっぴりもどかしさを感じさせる。
もっと、こう……。
あたしが口に出す前に、陽介が
「お前さ、激しく動かせばいいってもんじゃないぞ」
と言って、広瀬の身体を押しのけた。