朝-1
「ん……ふぅ……むぅ……」
私は今、両手をひとつに縛られてベットにくくりつけられている。
しかも、口は布で塞がれてくぐもった声しかでない。
いったい何でこんな事になっているのか……時間を少し遡る。
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「朝陽(アサヒ)はさ、俺と夕也(ユウヤ)だったらどっち選ぶ?」
きっかけは陽太(ヨウタ)のそのひと言だった。
「はあ?あんたと夕也ぁ?」
私は大分酔っていて、それなのにビール缶をグビリと煽る。
ここは、陽太と夕也のアパート……私達は大学の同じ研究グループで、今日はレポート制作の為に集まっていた。
バイトや門限やらで人数が減り、残ったのは3人……これじゃレポートも進まないってんで呑みに逃げた所だ。
そして、話をふってきた男は陽太で夕也とは双子。
この2人は何かにつけて競い合う傾向があり、頭の良さから運動神経の良さ……終いには彼女の数と色んな事で競い合っている。
そのおかげか、2人共自分に磨きをかけているので結構良い男だ。
「双子って言ったってタイプが違うんだからさあ〜好みによるんじゃない?」
陽太は明るくて社交的、夕也はもの静かだがさりげない気配りが出来るジェントルマン。
「だからぁ、朝陽のタイプはどっちだよって聞いてんの」
陽太が私の肩に腕を回した。
「どっちもタイプじゃない、とだけ言っとくわ」
私は陽太の腕をつねって、彼から離れる。
私のタイプは私だけを好きでいてくれる男。
陽太も夕也も来る者拒まずの八方美人なんだもの……論外論外。
「タイプと言っても付き合ってみないと分からない事もあるよね?」
私よりも呑んでるクセに、顔色ひとつ変えてない夕也がビール缶に口をつけながら言う。
「体の相性とかな♪」
ああ、そういう事。
「俺かなり自信あるぜ?夕也より絶対うまいって」
「いやいや、テクニックは僕の方が断然上だね」
「んじゃ、夕夜。1回のセックスで何回イカせられるよ?」
「必ず2回はイカせるけど……それって女性にもよるだろう?イキ易い子は何したってイクわけだし」
はいはい、女性経験豊富だこと。
「朝陽はどう思う?」
「知らないわよ。私、あんたらに興味無いもん」
私は2人に適当に答えてツマミを口にほおる。
「ああ……じゃあ朝陽にジャッジしてもらおう」
「はあ?」
夕夜のとんでもない提案に、私は持っていたビール缶をメキョッと握り潰してしまった。