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秋晴れの栗拾い
【OL/お姉さん 官能小説】

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プロローグ-1

 
「いい天気・・・」

 アパートを出た里菜は思わず立ち止まって高い空を仰いだ。レクリエーションのひとつとして今年は栗拾いが選ばれた。里菜の勤める会社は中小企業の中でもずいぶん小の方なので、運動会など派手なものはなく、内容はいつもこじんまりとしている。社員の平均年齢も高い方で、女性はパートのおばさんが殆ど、お目当ての男性社員も居ないので、ジーンズにTシャツ、パーカーを羽織った。行楽には当たり障りの無い地味な服装である。
 目的の栗農園に到着すると各々採取用のバケツや火バサミを受け取りながら昼御飯の集合時間を告げられ、それぞれ広い農園に散らばっていく。里菜は、おばさん逹の姦しい団体に背を向けて反対方向の林に入った。



 栗拾いが決まった時は面倒だなと思った。調理などしたことの無い栗を持って帰ったところで、どうしようも無い。いつもの様に会社近くで食事会でもしてくれれば途中で抜け出して帰ることも出来たのに・・・。里菜は普段から部屋で静かに本を読んだり、編み物でもしている方が好きだった。しかし、そんな鬱々とした気分も高い空を見上げてからは少し晴れ、“来て良かった”と思えるようになっていた。

「本でも持ってくれば良かったな」

 バケツの底では大粒の栗が10個ほどコロコロと音を立てている。聞き慣れた喧騒から遠ざかると、上空から鳶の鳴き声が聞こえて来る。短い草の中からは騒がしい蝉とは違う虫たちの声。梢を揺らす風の音。久しく耳にしたことの無い音ばかり。

「・・・ひッ?!」

 足元を走り抜けていった小動物に一瞬驚いたが、それは少し先の木に駆け登り、幹に空いた小さな穴に飛び込んだ。

「なんだろ・・・?」

 小動物の消えた穴をしばらく見ていると、それはすぐに顔を出して里菜の方を見た。


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