母と娘の淫らな駆け引き-1
『ただいま…』
いつもより早く玄関から聞こえた恵子の声に、美弥子はドキッとした。
「お、お帰りなさい。き、今日は早かったのね」
取り敢えずいつも通りにしようと思っていたが、恵子に掛けた言葉は緊張でガチガチだった。
(平静に、平静に…)
心の中でつぶやくが、娘に向ける笑顔はぎこちない。
「え、ええ、ち、ちょっと気になることがあってね」
答える恵子も同じくぎこちない。いつもの恵子ならば、帰宅後はしばらくの間はリビングでボヤボヤと過ごすのだが、この日ばかりは慌てて自分の部屋に向かった。
そんな恵子の色気の出てきた腰周辺を目で追いながら、昼間に見た動画と重ね合わせ、美弥子の手は無意識に股間へと伸びていく。
指先に湿り気と敏感な部分に刺激を感じた美弥子は「はっ!」と我に返り、直ぐに「はぁぁ」とため息をついた。
一方、部屋に入った恵子は、整ったベッドと閉じられて電源の切られたノートパソコンを見て呆然とした。
「あああ、お、お母さんに見られちゃった…どうしよう、どうしよう」
聡明な恵子でもどうしたらいいかわからなかった。
気弱に目を泳がす恵子だったが、その泳いだ先にふと目に止まる物があった。
「なにこれ?」
しばらくそれについて考えていたが、聡明な恵子は直ぐにそれが何であるかに気がついた。
「なあんだ、そういうことか」
それが何であるかがわかると、何かのスイッチが入ったように、恵子から気弱な表情が消え去り、代わりに悪戯っぽい微笑みが浮かんできた。
「うふふ」
恵子の中で何かが吹っ切れた瞬間だった。もう引っ込み思案で大人しいだけの恵子じゃない。それにいつも夢見てたことを実現するいい切欠かもしれない。
「このままじゃ気まずいだけだし、ここは思い切って荒療治でイこうっと!」
恵子は気合いを入れると、階下の母に向かって元気に声を掛けた。
「お母さ〜ん、ちょっと来て〜」
呼ばれた美弥子はドキッとした。どう対応して良いかがまだ決めきれていなかったのだ。
「お母さん、早く早く」
美弥子がその声に急かされるまま恵子の部屋に入ると、自分の沈んだ心とは正反対のニコニコと晴れやかな恵子の姿があった。
(あたしが動画を見たのに気づいてないのかしら…)
そう思った美弥子の意に反して、恵子はアッサリと聞いた。
「お母さん、あたしが映ってるエッチなビデオ見たでしょ?」
「えっ?」
美弥子は驚いた。恵子から切り出すとは思わなかったからだ。
「パソコンが消えてるし、お母さんの様子も変だし、見たんでしょ?」
「え、ええ…」
美弥子は戸惑ったまま答えた。
「あちゃ〜、やっぱり〜、ロープに食い込んでイッちゃったのが見られたか〜」
恵子はそう言って自分の頭をぺしりと軽く叩いた。
美弥子はそんなおチャラけた恵子を見てムッとした。
(あたしが今日、どんなに悩んだか知りもしないで)
そう考えると急に腹が立ってきた。
「恵子、なんですかその態度!あたしは自分の娘の淫らな姿を見せられて凄くショックを受けてるのに!」
美弥子の剣幕を受けても恵子の態度は変わらなかった。それどころかさらに美弥子に追い打ちを掛けることを言った。
「で、ショックのお母さんは、あたしのエッチをおかずにオナニーしたでしょ」
恵子はそう言って悪戯っぽく微笑んだ。
「なっ!」
そんな言葉が返ってくるとは思わなかった美弥子は絶句してしまった。
「したんでしょ、オナニー」
「そ、そんなことするワケないでしょ、やらしい!」
慌てて否定した美弥子だったが、その目は恵子を見ることができなかった。
「いいえ、お母さんは自分のおまんこをクチュクチュ弄って『あんあん』喘いでたはずよ」
「お、おまん……恵子!なんてはしたない言葉を使うの!」
「あれぇ?お母さんは言ったことないの『お・ま・ん・こ』」
恵子はそのはしたない単語をはっきりと発音し、美弥子の反応を楽しんだ。
「そんなやらしい言葉は言いません。それにオナ……と、とにかく変なことなんてしてません」
「『変なこと』って、オナニーは変じゃないよ。自分のおまんこをどうしようと自由だし、クチュクチュしたら気持ちいいし、とてもいいことじゃない」
「いいことだろうと何だろうとしてません。それにもうはしたない言葉を使わないで!」
「ホントにしてないの?」
「しつこいわね」
「じゃあ、これが何か説明してくれる?」
恵子はそう言って、さっき気付いた物を指差してにっこりと微笑んだ。
「あっ!」
美弥子は恵子が指差した物を見た瞬間、自分の失敗に気づいた。
「あたしのオナニーの分だけだと、こんなにゴミ箱にティッシュは溢れないはずよ」
「そ、それは…」
美弥子は自慰行為の後、後で片づけるつもりで、取りあえず恵子の部屋のゴミ箱に大量のティッシュ捨てたのだ。
幾度も絶頂を迎えた美弥子が使ったティッシュの量は、恵子が指摘したように恵子が使った量よりはるかに多かったのだ。美弥子は階下に降りた途端に、色んな事を考えてしまい、そのことをすっかり忘れていたのだった。
「これってお母さんのおまんこ汁の匂いよね」
恵子は濡れたティッシュを一つ摘まんでクンクンと匂いを嗅いだ。
「ああん、エッチな匂い」
「や、やめて…」
美弥子にゾクリと背徳感が湧きでてきた。それとともに下半身が熱くなる。
「あれぇ?お母さんどうしたの?赤い顔して。まさかおまんこが濡れてきたんじゃないでしょうね」
恵子は畳み掛けるように言った。
「ま、まさか…」