結婚前の儀式……?-4
たしかに、わたしは処女だった。これまでに恭介以外の男性とつきあったことは無いし、恭介も『君を大事にしたいから』と言って、手を握る以上にわたしの体に触れようとしてきたことは一度も無かった。
「そして、なによりも瑠奈は両親や親戚がいない、ひとりで生きている子だったからね。僕たちは、そういう女の子を探していたんだ」
「え? 僕たち……って」
ギッ、と車体が前後に揺れ、流れていた景色が止まった。目の前には数件の古い民家が立ち並び、数人の男性が物珍しげな視線をこちらに向けていた。恭介がサイドブレーキを引きながら、にっこりと微笑んでわたしを見た。
「さあ、降りて。ここが僕たちの村だよ」