初めてのデート-1
さて、今回は初デートのお話です。
付き合って次の日のこと、いきなり彼からこんなメールが来ました。
『デートしたいな〜♪言っておくが、拒否は許さん。(どうしてもって言う理由があるなら別だけど)というわけで、明日の10時に俺の家の前集合ね。
遅れるなよ〜。by麗音』
…と、こんな感じで。
半ば無理やり、私は彼とデートすることになったのです。
まぁ…いやではないですけどね。
そして次の日の10時…約束の時間。
仕方なく彼の家の前に行くと、もうすでに彼はそこに居た。
「ほら、遅いぞ〜」
「遅いって…約束の時間ちょうどだよ?」
「…いや、32秒遅れた」
「細かいよ…」
「と、いうことで遅れたからお仕置きな♪」
そういうと彼は不意に私の腕を引き、抱き寄せたかと思うとそのまま顔を近づけた。
思わず私は目を閉じる。すると彼はくすくすと笑い出した。
「!?」
「冗談冗談、なんもしねぇよ。何期待してんだ?お前」
「…な…!?べ、別に何も期待してないし!」
「…真っ赤になっちゃって…可愛いなぁ…
それに、素直じゃないところも可愛いよ、真奈」
私から離れ、頭を撫でつつ彼が言う。
そんな彼に対して私はむすっと頬を膨らませた。
そんな私を見ると彼は私の頭の上に手をポンと置いた。
「怒るなって…ほら、撫で撫でしてやるから」
「私は子供か!」
「子供だろ」
きっぱりと言われ、むぅ…と再び頬を膨らませると彼はニヤニヤしながらこういった。
「まぁ、そういうところがすきなんだけどな〜俺は」
「なっ…う…」
「…ぷっ…顔真っ赤…
ホント可愛いよなお前」
再び頭を撫で撫でしながら、悪戯っぽく笑って彼が言う。
完全に子ども扱いされてる…
「おいおい…そんな怒った顔するなよ。可愛い顔が台無しだぜ?」
「ふんだ…」
ぷいっと私がそっぽ向くと彼はさすがにやりすぎたと思ったのか、俯いてしまった。
そのままほうっておこうと思ったが、なんだかかわいそうに思えてきたので、慰めようと彼の手をそっと握るとそのまま腕を引かれた。
そして彼の腕にすっぽりと治まる形で抱きしめられた。
彼は私の耳元で一言。
「や〜い、騙された」
「な…な…」
この瞬間、私はきっとこの人に口で勝つことなど一生できないだろう…
そう思った。