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一週間後、男は現れなかった。
相変わらずハローワークに通い、今度はパートタイム社員として事務職を斡旋された。
心療内科に通っている旨を先方に伝えると「今はそういう時代だから」と理解を示してくれた。
結局、十二月から働き始める事となった。失業保険は切れるが、一カ月程度なら貯金で何とか生活できるだろう。
心療内科では、薬を飲んでいれば睡眠はとれると伝えた。
ただ、男の事を考えない日は無かった。考えれば考えるほど、沈む一方なのは何故だろう。
「ハローワークに通えているのなら、それで十分じゃないですか」
医者はそう言い、処方を変えなかった。
ハローワークに就職報告に行った際、あの男性に会った。
就職先が決まった事を伝えると、「良かったですね」と笑みを浮かべてくれた。
「私の方は歳が歳なもんで、なかなかね」
苦笑している彼には、家族がいる。当然、パートなどではやっていけないだろう。
検索機で仕事を検索している後姿は、か細く、頼りなかった。
土曜日は、春巻きと玉子焼き、ポテトサラダに味噌汁を作った。勿論、二人分。
男は携帯電話を持っていて、私も携帯電話を持っているのに、四月からこちら、一度も通信していないことに気づく。
「明日は行けない」それぐらいのメール、くれたらいいのに、と思う。
私は冷え切った春巻きを口にした。
情けなくなって、涙が溢れた。これはきっと、鬱病のせいだ、と思う事にした。