鳥かごの姫君-1
「マダラ世話になった。
俺は彼女を連れて国に戻る」
「・・・ああ」
不安げに顔を向けるアオイは・・・
「悠久の国に・・・
私をお父様の元に帰して・・・お願いです・・・・・・」
「・・・悠久に帰ってなんとする?
キュリオとエクシスに好意を寄せられて・・・お前はどう応えるつもりだ?」
「・・・っ」
『・・・お前を欲している』
「愛しているよアオイ・・・」
「何をしにきたエクシス」
『・・・我はお前に会いに来たと言ったはずだ』
耳に残るふたりの言葉・・・
昔から仲がよかったと言っていた・・・キュリオとエクシス・・・どうしてこんなことに・・・・・・
胸が激しく締め付けられ、アオイはきつく目を閉じた。
「どちらも選べぬなら俺を選べ」
いつの間にか涙で濡れていた頬をティーダに優しく拭われる。
「俺の口付けはお前に捧げた。
お前の愛を求める男はここにもいるんだ」
俯いて動こうとしないアオイを俺は抱き上げた。マダラが目だけこちらへ向けて言葉を発する。
「・・・アオイと言ったな。
そなた、おそらく・・・・・・」
「・・・・・・いや、今は言うまい・・・」
魂を覗くマダラには何かが見えたのだろう。だが、そんなこと俺にはどうでもいい。アオイは俺の女だ。
城の入口まで来ると空には月も星も・・・何もないことに気が付く。
「死の国に来たのは初めてか?
・・・ここはお前のいた悠久とはまた別の世界だ。マダラの許した者以外は進入することさえできぬ」
ひたすら闇の広がる死の国にアオイは己の心の中に似た感情を重ねる。
ふと風が通り過ぎたと思うとティーダが大きな翼を広げ・・・私を抱いたまま舞い上がった。
(悠久に帰りたい・・・だけど・・・
ふたりに何て答えればいいかわからない・・・私一体どうしたら・・・・・・)
ティーダの目からみてもアオイが迷いの色を浮かべているのは明らかだった。
「お前は何も考えなくていい」
ティーダは想いのままアオイの唇に唇を重ねた・・・。
(・・・アオイ・・・か・・・。
次に会う時・・・それはそなたの運命が動き出す時だ・・・)
飛び立つティーダとアオイをマダラは静かに見上げていた。