ぬくもり-1
・・・我はたった一人の少女を待っていた。この時分になると彼女が現れる。最初は何の偶然かと思った。が、悠久の王キュリオの"血の繋がらぬ娘"だという。
「いたっ!エクシス!!」
振り返ると彼女が笑顔で走り寄ってくるのが見えた。
「みてみてっ!今日話した綺麗な石っ!!さっき拾ってきたんだ!」
興奮した様子のアオイをみて、よくわからない感情が沸き起こる。
手元を覗くとオーロラにも似た輝きを宿す小さな石があった。
『・・・・・・我が夢に物を持ち込むことが出来るのはお前くらいだ』
今までにない経験にエクシスは笑った。
「そうなの?」
自分が何をしているか理解出来ていないらしいアオイを見ていると・・・不思議な気持ちになる。
「よかった、エクシス笑うようになった」
頬を赤らめてそう言うアオイをみてキュリオとの会話を思い出す。
(触れ合って心が満たされるのは互いの気持ちが重要・・・)
触れることは叶わなくとも・・・
"それ"がどんなものなのかエクシスは知りたかった。
「エクシス?」
『・・・・・・』
気が付けば我はアオイの唇に唇を重ねていた・・・
・・・トクン・・・と小さな音をたてた心音が心地よい。
静かに唇を離すと、
『・・・お前は・・・心満たされたか?』
一瞬の間をおいてアオイの顔が朱に染まった。
「・・・っあの、えっと・・・っっ!!!」
「あ、あれっ!?たしかに触れたような、い、今触れることが出来てたよよような・・・っ!?」
『・・・・・・』
確かめるようにエクシスはアオイを抱きしめた。
柔らかく・・・あたたかい。
風になびくアオイの髪がさらさらと気持ちが良い。そして甘い香り・・・。
「わゎっっ!!!」
パニック寸前のアオイはバタバタしている。顔を覗きこむと思いっきり視線をずらして・・・
「わ、わ、わわたしっっ!!!
もももうっ寝なきゃっ!!!!!」
と立ちあがり、全力疾走でエクシスの夢から出て行った。
『・・・・・・眠っているのにか・・・・・・?』
一人つぶやくエクシスだが、
その心は今まで感じたことのない不思議な気持ちが芽生えていた・・・。