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翼の記憶
【ファンタジー 恋愛小説】

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-1

「アオイは赤ん坊のとき、霊獣の森に捨てられていたんだ。本当の親は誰なのか、どこでどうしているのかもわからない」




『・・・・・・』




エクシスは何か考える素振りをしている。





「・・・今となっては運命の出会いだったと、そう感じている」





『・・・アオイはそなたの手に触れてみよと言った・・・・・・』




唐突な話の切り替えに目を丸くしたキュリオは、その話の意図がわからず首をかしげた。




『・・・そなたの手は優しくあたたかい、心が満たされると・・・』




アオイがそんなことを・・・?
キュリオは彼女との確かな愛を感じ頬を緩めた。




ふたりはすっと手を差し出して握手を交わした。だが、エクシスの反応はいまいちだ。




「触れ合って心が満たされるのは・・・お互いの気持ちが重要なんだ」




静かに呟くキュリオの瞳はアオイを映していた。




『・・・・・・そうか』




しばらくの沈黙のあと前ぶれもなくエクシスが口をひらいた。



『・・・王の血をひかぬあの娘が我の夢を渡るのは何故だ・・・?』




「・・・ただの偶然とも思えないが、一度きりの事だろう?」





『・・・・・・』




エクシスは答えなかった。





(・・・あの娘なにかある)





話が終わったと思ったのだろう。
アオイがこちらに歩いてくるのが見えた。




エクシスは相変わらず表情なく私を見つめている。




そんな彼の瞳を見ていると、魅入られたように目が離せなくなった。どう反応して良いかわからずに・・・とっさに・・・




「エクシスの夢も素敵だけれどっ!悠久の国も素敵なところたくさんあるんです!」





千年も生きているエクシスが知らないはずはない。(何より素敵な場所はお父様がすでにご案内していると思うし・・・)





『・・・・・・ほぅ?』




意外にもエクシスは興味を示した。アオイはそれが嬉しくて虹のかかる湖や綺麗な石のとれる森の話をした。




静かに話を聞いているエクシスの口元にはわずかながら笑みが含まれていた。




(お父様が傍にいるせいか・・・エクシスも楽しそう)


エクシスが夢の中で寂しそうに見えたのは気のせいだと、アオイは勝手に納得していた・・・。






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