Purple target-28
(彼女があの男に逢うために、わざわざホテルまで来たのは間違いない。
それが本館へ足を運んでいないとすると・・・)
男はここではっとした。
(そうか!!ホテル敷地内にあるバンガロー・・・・そのどれかに男が泊まっているのか)
ここまで考えるに至ると、男は足早にその場を離れ、既に闇の帳に包まれていたホテルの外に飛び出した。
―――ガチャッ・・・・
鈍い金属音と共にドアノブを回し、
開かれたドアから溢れてくる光の中に飛び込むようにして室内に入ったルールーを待っていたのは――――
「水着姿もいいが、やはり貴女にはそんな夜のドレスの方が似合うよ」
「イサール・・・・・」
一瞬で自分の酔いが覚めたような思いだった。
それほど広くはない室内。
窓にはカーテンが敷かれ、見たところ寝室ということが分かる間取りと雰囲気。
そして部屋の中央に据えられたベットの上にイサールはいた。
白いシーツの上に、何も身に付けていない文字通りの裸形で。
昼間彼の頭の後ろで括られていた髪の毛はバラリと解かれた状態になっている。
彼の口許にはどこか冗談めかした風情が漂っているとはいえ、
その瞳はしっかりドアの前に立つルールーの全身を捉えて離さない。
ルールー自身その強い視線を受けて、
まるで金縛りにあったような気分で身動きできなかった。
そして昼間は水着の下に隠れていた彼の肉棒。
極端に大きいという印象は受けなかったが、
少なくとも夫ワッカのものよりは太く長い。
他人事で言うと
“見事な形”
といったところだろうか。
そのやや赤みがかった見事な肉棒に蔓のようにまとわりついているのが、青紫がかった血管のひだであった。
流石のルールーもイサールの裸形を凝視してしまい、無言のままだった。
文字通り意表をついた“彼の待ち受け”だったのだ。
「・・・驚いたかな?」
「流石にね・・・でも貴方の締まった身体をこうして見られたのだから、悪くない趣向ね」
「・・・私の方も貴女の身体を見られると思うと、こうして待ち受けていた甲斐があったよ。
今の貴女の黒いドレス姿が見られなくなるのは、正直惜しい気もするけどね」
そう言いながらイサールはベットに腰を下ろした体勢でドアの前に立つルールーに両手を差しのべた。