Purple target-26
(あれから大分時は経ったが・・・・まさかな)
ルールーのために出す甘めのカクテルを作るために、棚から酒や道具を取り出す途中、
マスターは何気にルールーの“変わりない姿”に、 ある種の予測をしながらもそれを心の中で打ち消した。
(・・・あまり深く詮索したところで、あくまで彼女自身の話だ。
考えたところで対して私には関係ないしな・・・――――――)
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「――――・・・さてと、ごちそうさま。今夜は楽しかったわ。ありがとう」
マスターととりとめのない雑談に興じつつ出された甘めのカクテルを全て飲み干した後、
ルーはおもむろに席を立った。
「おや、折角来ていただいたのに勿体ないなぁ・・・これから何か別の用事でも?」
「ちょっとヤボ用ってとこかしら・・・羽を伸ばせる時には、しっかり伸ばさないとね」
冗談めかした口ぶりのまま階段を昇っていくルーの後ろ姿を、マスターは無言のまま最後まで追っていた。
かつてスピラホテルに滞在していた新聞記者ラグナとルールーは一緒にエレベーターに乗り込んだ。
この時何故かマスターの脳裏を、
その時の2人の後ろ姿の場面がさっとかすめていったのである。
―――ザッザッザッ・・・
ホテル本館の正面から外に出たルールーはそのまま横手に伸びる小道の方に足を向けた。
石畳の細い小道。
ホテル正面のメイン道路と違い、道を照らす街灯もまばらな薄闇の中を足早に歩いていく。
辺りには夜も更けているせいか、彼女以外の人影はない。
ホテル本館の方向からは、出入りする車の走る音が微かに聞こえてくるのみだ。
ホテルの敷地内の作りについて大体目星はついているとはいえ、迷いを感じさせない歩み。
僅かながらに酒が入っているせいか、
ルールー自身気持ちが大きくやや華やいだ気持ちになっているのは分かっている。