Purple target-20
「・・・・今日は随分御機嫌ですが、大物が取れましたか?」
何気ないマスターの口振りに、
男は頬を赤らめた状態でニヤリと笑った。嬉しさの為か、これでもかと言わんばかりに目を細めている。
「“大物”・・・・そうだな。この島に来てからは小物しかありつけなかったが、
先日見逃した“大物”を昼間に発見したんだ。追いかけて何とかその“巣穴”まで突き止めた。
明日以降その“大物”を仕留めてやるのさ」
「それはそれは・・・・さぞかし見事な鳥なんでしょうな」
「鳥・・・・そうだな、見事な鳥だよ。羽毛が鮮やかな見事な雌鳥だ」
ちょうどこの時、複数の客がワイワイとカウンター席にやってきたので、
マスターは会話を自然に打ちきるとその場を離れる。
離れ際、
笑みを浮かべたままで自らのグラスの中身を眺めていた男の首からかかっているフクロウのペンダントが、
妙にマスターの中に印象深く残った―――――
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―――ザワザワザワ・・・
「おいっし〜〜〜、この魚の肉って本当に柔らかいね」
「・・・本当ね。こんなに美味しい魚を食べるの、何年ぶりかしら」
「うんっ、このサラダも新鮮だし、ドレッシングもいいかんじ」
「流石に島で有名になっているレストランだけはあるな」
華やいだ雰囲気で和気藹々と食卓に並べられた料理に舌づつみを打つ4人の女性。
4人が4人とも、ある意味島で一二を争う綺麗どころのせいか、
彼女達がいる円卓がテラスでは端の方にあるに関わらず、
客でごったがえす中にあってある意味注目の中心になっていた。