Purple target-17
「・・・・バンガローじゃ人目につくんじゃない?」
「ここよりはましだろう・・・・・?」
「・・・・やっぱり政治家は胆が座っているわね」
「・・・いつ、来てくれる?」
「・・・明日の夜はどう?」
「随分早いな・・・・」
「・・・早い方がいいんでしょう?」
「・・・・・フッ」
「・・・女の方が行動で相手のことを理解するものなのよ・・・―――――」
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「・・・・・・」
2人が立ち上がり並んで歩きはじめたのを確認して、男はゆっくりと望遠鏡を右目から離した。
そして無言のまま、
くるりと向きを変え足早にその場を離れた。
(・・・・・・)
無論のこと、男はここで全てを終わらそうとしているわけではない。
いや、男にとってはむしろ“始まり”といってもいいかもしれない。
(今日は・・・“獲物”を追いかけてその“巣穴”を確認しないとな。
あと“獲物”の“品種”もな・・・・・・)
ここに来るまでに駐車しておいた私有車が見えてくる。
先程まで眼下で繰り広げられていた情景によって煽られた形の欲情を押さえつつ押さえつつ、
男は運転席に滑り込みキーを回していた――――