拘束・汚辱-4
「先生、今日もお願いします。」龍は昨日と同じように職員室の沼口に声をかけた。
「おう、来たな海棠。よしっ!理科室に行こう。」
「はいっ!」
理科室への廊下を歩きながら沼口は言った。「どうした、海棠。今日はえらく機嫌がいいようだが。」
「そうですか?気のせいでしょ。」
「ま、いいけどな。」
理科室に入った沼口は、龍を椅子に座らせ、昨日と同じようにドアを閉め、カーテンを引いた。
「先生、僕のためにプリントなんか準備してくれてありがとうございます。」
「何てことないよ。」沼口は理科室から続く理科準備室のドアを開けて中に入っていった。龍は自分の鞄から筆記用具を取り出して広い机に置いた。理科の授業で実験をするためのその机は、数人の生徒が囲めるぐらいの広さだった。周囲に6脚の椅子がある。
まもなく沼口が準備室から出てきた。手には何やら薬品の入った茶色の小瓶や実験器具などが乗せられたトレイを持っていた。
「そう言えば、お前、シンプソンのいとこなんだってな。」
「え?は、はい。」
「二人とも元気か?」
「はい。元気にしてます。」
「真雪の方は俺好みの可愛い生徒だったな・・・。」沼口が独り言のように言った。
「えっ?」
「お前もそう思うだろ?」
「べ、別に・・・。いとこだし・・・・。」龍がうつむいて少し赤くなっているのを見て、沼口は口元にわずかな笑みを浮かべた。
外で雨が降り出した。雨粒が地面を打つ音が聞こえ始めた。
「さて、海棠、お前、実験は好きか?」
「え?実験ですか?」机の上に並べられたものを見て、ずいぶん大がかりな勉強をするんだな、と龍は思った。「嫌いじゃないですけど・・・。」
「そうか。」沼口は器具を机に広げ始めた。「おもしろい実験をしてやろう。」
龍は黙っておとなしく椅子に座っていた。沼口が彼のすぐ横の椅子に座り、わざわざその椅子を動かして、龍に自分の身体を近づけた。
「これが何だかわかるか?」沼口は茶色の瓶を手に取った。それは手のひらに包めるほどの小さなものだった。
「え?わ、わかりません。」
「これは硫酸だ。」
「硫酸?」
沼口は静かにその瓶の蓋を開けた。「これを・・・、おっと!」突然沼口の手がすべり瓶が傾いた。中の液体が机にこぼれ、龍の膝にしたたり落ちた。
「まずい!海棠、ズボンを脱げ!急いで!」
「ええっ?!」龍は慌てて椅子を倒して立ち上がり、言われたとおりにベルトに手をかけた。しかし焦っていてなかなかベルトを外すことができなかった。「早く!火傷するぞ!」沼口はベルトに手をかけ、龍がズボンを脱ぐのに手を貸した。半ば無理矢理ベルトを外し終わると、沼口は一気に彼のズボンを引きずり下ろした。
「すまん、海棠。」そう言ってその理科の教師は露わになった龍の太ももに手を当て、なで回しながら観察した。「大丈夫のようだ。肌に異常はない。」沼口は、脱がせた龍のズボンを取り上げて準備室に入った。龍は一人、教室で下半身だけ下着姿のまま、そこに立ちすくんでいた。
水の流れる音がした。そして数分後に沼口は龍の元に戻ってきた。
「今、お前のズボンは水で洗ったから、心配するな。でも乾くのに少し時間がかかるが、大丈夫か?急ぎの用とか、ないか?」
「べ、別にありません。」
「そうか。それはよかった。」
沼口は立ったまま言った。「そのシャツも脱げよ。」
「えっ?!」
「裾のところに硫酸がかかってるかもしれないだろ。」
「い、いえ、たぶん大丈夫だと・・・。」
沼口は龍のシャツの襟に手をかけた。
「俺が、調べてやるから、脱ぐんだ。」彼は低い声でゆっくりと言った。龍は軽い寒気を覚えた。
「や、やめてください・・・。」龍は拒んで身体をよじった。沼口が襟を掴んだまま力を入れた拍子に一番上のボタンが一つはじけ飛んだ。龍は身体をこわばらせた。
沼口に上から一つずつシャツのボタンを外されている間、龍はなぜか身動きとれなかった。そして、彼は黒いビキニの下着だけの姿にさせられた。
「なかなか大人っぽい下着を穿いてるじゃないか。俺の思ったとおりだ。」
「え?」
「これからが本当の実験だよ、海棠。」沼口はそう言うやいなや、龍の身体を抱きしめた。
「ちょ、ちょっと!せ、先生!」龍は慌てた。
龍の身体は大きく、逞しくなってはいたが、沼口はそんな龍を身動きできないほどの力で抱きすくめていた。そしてその教師は龍を床に押し倒した。
「な!何するんだ!」龍は叫んだ。
沼口は龍の身体に馬乗りになり、硫酸の入っていた小瓶を手に取った。「おとなしくしろ。騒げば今度はこれをお前の顔にかけてやる。」
龍は絶句した。
沼口は片頬に薄気味悪い笑みを浮かべた。「俺は学生時代にラグビーをやってた。水泳選手なんぞに力で負けはしないよ。」そう言って沼口は瓶の中の液体を一滴、龍の乳首のすぐそばに落とした。
「あ、熱っ!」
「わかっただろう?俺には逆らわない方がいい。」
龍の心臓は口から飛び出さんばかりに激しく脈打っていた。
「心配するな、お前を気持ちよくさせてやるだけだ。」
「な、何するんだ!」龍は暴れた。「放せ!」
「おとなしくしろって言っただろ!」ばしっ!ばしっ!沼口の平手が龍の頬を激しく往復した。爪がかすって、龍の右頬が少し切れた。血が滲み出て、頬を伝って流れた。しかし、それでも龍は叫んだ。「降りろ!僕から降りろ!」ぺっ!龍は沼口の顔に向かって唾を吐いた。
沼口は顔にかかった龍の唾液をゆっくりと右手の親指で拭い、それを自分の口に持っていって、赤い舌でべろりと舐めた。龍は目を見開いて息を呑んだ。
「いいね、なかなかいいよ、海棠 龍。」