夢の中で-1
アオイは夢を見ていた。
美しい森の中を歩いている。
綺麗な小鳥のさえずりや木々のざわめく音を心地よく感じながら・・・。
あたたかい風が傍を駆け抜ける。
『・・・誰だ?私の夢に入り込んだのは・・・』
どこからともなく聞こえてくる声にアオイは答えた。
「・・・これはあなたの夢?」
音もなく木の枝に人が現れた。
透き通るような金の髪に白い肌。瞳は翡翠の色をうつしていた。
『・・・人の子よ・・・名は・・・?』
よく見るとその人の口は動いていない。直接意識に働きかけるような感じだ。
「私、アオイです」
『・・・我が名はエクシス』
『・・・ここが気に入ったのであればまた来るが良い・・・』
「・・・っ」
・・・光が満ち、アオイは現実に引き戻された。
(・・・エクシス・・・?どこかで聞いたことのあるような・・・)
まだはっきりしない意識を抱えて上体を起こす。
「おはよう」
はっとして声のしたほうを見ると、寝起きにも関わらず美しいキュリオが横になったまま笑っていた。
「おとう・・・っっ!!!」
お父様 とは言葉にならなかった。
キュリオの長い指が私の唇に触れ、言葉を発することは許されなかったからだ。
「ふたりきりの時は・・・名前で呼んでほしい」
穏やかに微笑むキュリオに心臓が跳ねた。どきどきと心音がうるさい。
しばらく何も言えず硬直していると、
「・・・だめかな?」
上目使いで拗ねたように見つめられる。このようなキュリオをアオイは今まで見たことがなかった。
戸惑いながらも可愛いキュリオに笑ってしまう。
「・・・キュリオ」
愛しい彼の名を呼ぶと優しく押し倒され・・・キスの嵐が降り注いだ。
「アオイ・・・愛しているよ」
何度も愛の言葉を囁かれ、アオイは心地よい眠りに落ちて行った。