『桃色の旅』〜変態映画館〜-7
少女の制服が高校時代のものに変わっている。誰もがおしゃれを競い合う中で、そのショートヘアの髪にはヘアピンひとつ付けられていない。放課後の職員室前、にぎやかな声が響き渡る廊下で、少女が図書委員の日誌を担当教師に渡しているところだ。その優しげな表情が大きく映し出される。
「あ、富山先生……」
高校時代、この先生のことが大好きだった。それは中学生の時に抱いたものよりも、もっとはっきりとした恋心だったと思う。少しでも長く一緒にいたいと思ったし、できることならその逞しい腕で抱き締めて欲しいと強く願った。実際、何度も頭の中でそんな妄想にふけりながら、夜毎に布団の中で体を熱くした記憶がある。
でも友達にも親にも話せなかった。そんな想いを持つことはすごく悪いことだと感じていた。だから、すべてを忘れるために勉強と部活を必死に頑張った。頑張っている間は、何も考えなくてよかったから。叶わない恋のことも、決して振り向いてくれない母親のことも、体の芯から滲み出てくる欲求のことも。
高校2年……17歳の誕生日を過ぎたころから、その欲求は強まっていった。小説や友人に借りた漫画などに出てくる性描写の部分に、体が異様に反応するようになった。男女が抱き合う、その具体的なことはよくわからなかったけれど、自分の体を可愛がるやり方はこの頃から少しずつ変わっていった。
また夜の場面。中学生のころから比べると、ずいぶん大人になった少女の体。母親は家を留守にすることが多くなり、夜はひとりで過ごす日が増えた。少女は布団に潜り込む前に全裸になり、おそるおそる乳房に触れる。指先をまだ柔らかな乳首に当てると、体がぴくんと震えた。誰もいない部屋の中に、少女の息遣いだけが聞こえる。両方の指で乳首を撫で続け、じゅうぶんに快感を味わう。頭の中に先生の姿を思い浮かべる。自分の指を先生の指だと妄想する。指を下半身に滑らせ、生えそろってきた陰毛をかきわけ、ぐっしょりと濡れた割れ目を撫でる。小さな突起を優しく擦ると、背中がのけ反るほどの快感が走り抜けた。
『あ……あぅ……』
唇の隙間から悦びの声が漏れる。指先をそのすぐ下の穴の部分に当てると、くちゅりという音と共に体内へと飲み込まれていく。狭いその中を探るように指を動かす。それはやがて一番気持ちの良い場所を見つけ出し、少女は堪え切れない様子で腰を振る。快感と同時に得体の知れない罪悪感が少女を責める。
『ごめんなさい、ごめんなさい……』
泣きながら謝罪の言葉を口にする少女は、それでも足を大きく広げたまま腰を振り続け、意識が飛ぶまでその行為を繰り返す。朝になって目覚めた少女は、痛烈な恥ずかしさと共に風呂場に走ってシャワーを浴びる。母親は、まだ帰ってこない。