旅行土産-3
「そう言えばケンジ、あなた率先してケネスを受け入れてたけど、どういう心境の変化?」
ケンジはちょっとおどおどしながら赤面して言った。「お、俺さ、恥ずかしい話だけど、高二の時に見た夢で、ケネスにイかされたことが、ずっと頭から離れなくて・・・・。」
「え?あれが?」マユミが言った。
「そ、そういうマユはどうなんだよ。」
「えへへ、実はあたしも。ケニーに顔や髪にかけられたり、レイプされたりしたことが、まだどこかに残ってる・・・。」
「ええっ?!マユミ、ケネスにレイプされたのか?」
「夢の中での話だよ。」
「なんだ、夢か。で、その夢って?」ミカが訊いた。
ケンジとマユミは当時のことをミカに話して聞かせた。「・・・というわけなの。詳しくは『Chocolate Time 第14回』を読んでね。」
「へえ。でもそれって、純粋にケンジたちのみた夢の世界でしょ?」
「そうなんや。本人のわいにとっては、超迷惑な展開やって思わへん?ミカ姉。」
「でも、ケネスにはそういう一面も実際にあるんじゃないの?」
「へ?な、なんで?何を根拠に?」
「根拠?あるだろ。おまえのあの肉食獣のような乱暴なセックス。」
「な、な、何言うてんねん、ミカ姉。」
「あたし、あんたを酔わせて押し倒すつもりだったのに、すっかりあんたのペースでイかされた。もう、あたし何もする暇も与えられずにあの時、3回もイったんだぞ。」
「そ、それは・・・・。」
ケンジが言った。「確かに日頃のケニーからは想像できないぐらい激しかったな。」
「あ、あれはやな、ミカ姉のきんきらきんのレオタード姿に欲情したからや。」
「なに?あたしのせいだっての?」ミカはケネスをにらみつけた。
「い、いや、そ、そうは言うてへん。」
「じゃあなにか?俺があれをミカに買ってやったのが原因だっていうのかよ。」
「マーユ、助けてーな。」ケネスはマユミに泣きついた。
「大丈夫だよ、ケニー。ミカ姉さん、けっこう燃えてたし。まんざらでもなさそうだったよ。」
「あんなに痛くて激しいセックスは初めてだった!セックス中に咬みつかれるなんて思いもしなかったよ。」ミカが強調した。「もうあたし、ケネスに咬み殺されるかと思った。でも、今までにない強烈な気持ち良さだったよ、ケネス。ああいうのを本当の野獣セックスって言うんだね。」
「俺もあの時ベロ咬まれた。ケニーに。」
「わいの身体に流れとる血の半分が狩猟民族、半分が大阪のおばはんやからかもしれへんな。」
「遺伝だってか?」
「わいのおかん、しょっちゅうあちこちに咬みついてるよってにな。その染色体のせいやな。」
「何それ。」マユミは笑った。
「マユミもいつもあんなやられ方してるの?」ミカが訊いた。
「時々ね。でもあたしもよく咬みつくよ、ケニーに。」
「そう言えば、俺も前、マユにやられたことがある・・・・。」ケンジがぽつりとつぶやいた。
「あんたらすごいね!身体中歯形だらけになってんじゃないの?」
「そんなことないよ。」マユミは笑った。
「っつーか、あんたらセックスの度に咬みつき合ってるの?見かけによらず激しい夫婦だね。」
「俺も、今度やってみようかな。」ケンジが鼻息を荒くして言った。
「あなたには無理よ、無理。」ミカが言った。
「何でだよ。俺だってお前のきんきらきんのレオタード姿見れば野生の血が・・・。」
「ケンジは鼻血出して終わりよ。」
「そ、そうかもしんない・・・・。」ケンジはうなだれた。
「ケン兄は優しく愛してくれる方が似合ってるよ。」マユミが微笑みながら言った。
「マユ・・・・。」ケンジは寂しげにつぶやいた。「マユだけが俺の味方だ・・・。」