新たな一日-2
「これ、返すね。ありがとう、ミカ先生。」健太郎はカードキーをミカに手渡した。
それからミカは健太郎を隣の部屋まで送った。部屋の前でミカは健太郎に言った。「本当に我慢できなくなったら、こっそり言いな。」
健太郎は黙って微笑んだ。
ミカは部屋に戻り、テラスに出て、激しく健太郎と愛し合ったデッキチェアに横になった。二人の温もりがまだ残り、ミカの身体がまた少し熱くなった。いつしか鳥が鳴き始め、新たな一日が始まろうとしていた。
部屋に戻っても健太郎のカラダの火照りはなかなか収まらず、眠りにつくことが叶わなかった。やがて彼がうとうとし始めた時、龍に身体を揺すられ、健太郎は眠い目をこじ開けた。
「どうしたんだ?龍。」
「ケン兄ちゃん、僕、何だか変だ。」
「変?」
「そ、そうなんだ。」龍は少し赤くなっている。
「何かあったのか?」健太郎はベッドの上で身体を起こした。
「夢の中で、今までに感じたことのない気持ちよさが・・・。」
「気持ちよさ?」
「起きたら、僕の、その、あ、あそこが大きくなってて、パンツの中に白くてぬるぬるしたものがさ・・・。」
健太郎はにっこり笑って不安そうな顔の龍の肩を叩きながら言った。「そうか、龍、おまえもいよいよ。」
「え?」
「その夢って、」健太郎は龍の耳元に自分の口を持っていった。「どんな夢だったんだ?」
龍はまた赤面した。
「そ、それは・・・。」
「言ってみろよ。俺も経験あるし、それが何かも知ってる。オトコなら誰でも経験することだぞ。」
「そ、そうなの?」
「エッチな夢だったんだろ?」健太郎が囁いた。
「う、うん・・・。」
「どんな?」
「え・・・っと、言っていいのかな・・・・。」
「言ってみな。」健太郎はにこにこ笑っている。
「ぼ、僕、マユ姉ちゃんと、エ、エッチしてた。」龍は思い切り赤くなってうつむいた。
「へえ、マユと?」
「うん。」
「おまえ、マユのことが好きなのか?」
「え?い、いや、べ、べつにそういうわけじゃ・・・・。」
「俺がコクってやろうか?」
「い、いいよ!ケン兄ちゃん。僕がじ、自分で・・・。」
「やっぱり好きなんじゃないか。」
龍は慌てた。「だ、黙っててよ、ケン兄ちゃん。」
厚手のカーテンを隔てて真雪の声が聞こえた。「二人とも起きたのー?」
「やばいっ!」龍は慌てて健太郎の隣の自分のベッドに飛び込んだ。
「起きてるぞ、マユ。」
「龍くんは?」
「起きてる。むちゃくちゃ元気に起きてるぞー。」健太郎は、ケットを鼻までかぶって赤面している龍にウィンクした。
「ケン兄ちゃんったらっ!」
仕切られていたカーテンが開けられた。「何それ。何が『むちゃくちゃ元気に』よ。」
そのパジャマ姿の真雪の姿をちらりと見た龍は、ばさっと頭までケットをかぶってしまった。