ミカの暴走-3
「飲み過ぎだよ、母さん。」龍がため息交じりに言った。
「だ・れ・が・飲み過ぎだって?え?」ミカの脚はふらついている。ずっとケンジが肩を抱きかかえてコンドミニアムの前までやってきた。「じゃあ、お前たちはもう寝な。」
子どもたちを部屋に入れて、ケンジたち大人4人はソファに腰を下ろした。
「よしっ!飲み直すぞ!ケネスっ!」
「まだ飲むんかいな。もうやめとき、ミカ姉。」
「何だと?アタシにそんな口きいていいのか?ケネス。」
「カラみだした・・・。」ケンジが言った。
「お、おい、ケンジ、こういう時の対処法、教えてーな。どないしたらミカ姉を鎮められる?」
「口を塞ぐんだよ。」
「えっ?」
「口で口を塞いでみろよ。」
「な!そ、そ、そんなこと人前でできるかいな。」
「じゃあ、俺たち先に寝るから。」ケンジはケネスにウィンクをして、マユミの手を引き奥の寝室に消えた。
ミカはソファの上でケネスに身体をもたせかけ、とろんと半分閉じた眼で彼の眼を見つめた。
「ケネス、やっとこの時がきたねぇ。」
「ミカ姉、大丈夫かいな・・・・。」
「ねえ、ケネス、キスして・・・・。」
「え?」
「優しくね。」ミカは眼を閉じて唇をケネスに突きだした。
「ちょ、ちょっと待ち、ミカ姉、」
「ん?どうしたの?」ミカは眼を開けた。が、半分閉じている。
「少し、酔い醒まそやないか。」そう言ってケネスはミカを抱きかかえ、広いテラスに出た。
「涼しくないっ!」ミカが叫んだ。「かえって暑いぞ、ケネス。」
「ミカ姉、水でも飲むか?」
「うん。飲む。」
ケネスはテラスの大きなデッキチェアにミカを横たえ、キッチンからミネラルウォーターのボトルを持って戻った。
「ほれ、ミカ姉、水や。飲み。」
ミカはケネスからそのボトルを受け取り、ごくごくと一気に飲み干した。そしてそのままデッキチェアに横になって寝息をたて始めた。
「ほんま、飲み過ぎや。っちゅうか、気の遣いすぎやな、ミカ姉の場合・・・。」
ケネスはミカを残して部屋の中に入った。
「ミカ、寝ちまったみたいだな。」ケンジが立っていた。
「なんや、ケンジ、お前たち楽しんでたんやないんか?」
「いや、あんなミカをお前に預けたままっていうのも気が引けて・・・・。」
「ミカ姉、張り切りすぎや。今日一日動きっぱなし、しゃべりっぱなし、飲みっぱなしやったからな、何しろ。」
「それもそうだ。」
「風邪ひけへんかな?ミカ姉。」
「外の方が暑いからな。でもまあ、これぐらいは掛けといてやるかな。」ケンジが手に持っていた大きなバスタオルをテラスに出てミカの身体にそっと掛けた。「きっと暑さに耐えきれなくなって起きてくるよ。そのうち。」
「そやな。」
「ところで、ケニー。」
「なんや?」
「お前に折り入って頼みがあるんだが。」
「頼み?」
「俺の目の前でさ、その、マユとセックスしてくれないかな。」
「えっ?!」
「俺、お前とマユが愛し合うの、まだ一度も見たことないだろ?」
「何やの、その理由。そもそも今日8月3日はお前たちのスイートデーやんか。」
「そうだけど・・・・さ。」
「わかった。ほしたらその後、お前もいっしょに参加して3Pに持ち込むで。それでええな?」
ケンジは頬を赤らめて言った。「わかった。」