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秘め事の系譜 シホ
【同性愛♀ 官能小説】

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初めての夜-1

 娘のレイナに恋人が出来てから二ヶ月。
 門限を破ったり、朝帰りしたりしたことはないものの、帰宅の時間は明らかに遅くなっていた。以前はクラスメイトと学校帰りの寄り道などで時折遅くなったことがあったが、最近はほぼ毎日だ。理由が部活動ということなので、どうやら、お相手は同じ部活の先輩らしい。
 艶々の肌で満足げな表情を浮かべながら帰宅する娘を見て、シホは母親として微笑ましく思いつつも、女としては複雑な心境だった。
『いつまでガマンできるかしら?』
 サチコは電話越しに、笑みを含んだ声で聞いてきた。明らかに、シホの悶々とした心情を面白がっている。
 陽射しが強くなってきた土曜日の昼下がり、シホは買い物に出かけるための身支度を整えていた。着替えの途中でサチコから電話がかかってきたので、シホは受話器をハンズフリー状態にして、着替えながらサチコと話していた。
「さあ、どうかしらね」
『美味しそうなお年頃になってきたし、学校の先輩ともそういう関係になっているみたいなんでしょ? 私が先に食べちゃおうかしら』
「ダメ。絶対にダメ」
 声を荒げるでもなく、トーンも変わらず、しかし、断固とした口調でシホは釘を刺した。
『らしくないわね。そんなに愛してるなら、とっとと食べちゃえば良いのに』
「下品な言い方はやめて。あの娘はアタシにとって特別なのよ」
『ま、実の娘なんだしね。当たり前といえば当たり前か。それで、今日のお芝居を見に行くのはどうするの?』
「昼間は買い物に出かけるから、夕方に迎えに来てちょうだい。」
『りょうかーい』
 着替えながら電話をハンズフリーにして話していたシホは、サチコと夕方の約束を確認して電話を切った。鏡に映る自分を見つめながら、娘のことを思って軽く溜息をつく。
 今日の午後は夫の夏物を買いに行く予定だ。レイナも誘ったが、撮り溜めした海外ドラマをまとめて見るつもりらしく、久しぶりに一人で買い物に行く事になった。
 リビングに入ると、紅茶とお茶菓子を用意したレイナは、既にドラマに夢中になっていた。母親がリビングに入ってきたのを見て、ドラマを一時停止する。
「ママ、出かけるわね」
「夕方には戻ってくるんでしょ?」
「その予定よ。夜にはまた、サチコとお芝居を観に出かけるけど、もしサチコが早くにきちゃったら待っててもらってね」
「うん、わかった。でもサチコさん、いつもみたいに約束ギリギリなんじゃない?」
「そうでしょうね。それじゃ、行ってきます」
「はい、行ってらっしゃーい」

「すっかり遅くなっちゃったわね。サチコと同時くらいかしら?」
 目当てにしていた夫の夏物が売り切れていた為、別の服を物色していたせいで予定よりも時間がかかってしまった。サチコが家に来ると約束していた時間と、ほぼ同時に帰宅することになりそうだ。
 お芝居の開演には十分間に合うが、バス停から心持ち速歩きになってしまう。
 最後の角を曲がったシホは、家の前にサチコの車が止まっているのを見とめた。どうやら、珍しくサチコが早めに来たらしい。
 今、家にはレイナとサチコだけである。ふと、シホの中にイタズラ心が湧き上がった。
 シホは音を立てないようにして玄関のドアを開け、ゆっくりと静かに靴を脱ぐと、抜き足差し足でリビングに近付いていった。ドア越しに二人が話している声が聞こえてくる。
 驚かそうと考えたシホは、すぐにはリビングに入らず、二人の話し声に耳を傾けていた。が、その声に甘やかなものが含まれているの感じたシホは、思わず立ち尽くしてしまった。自然と買い物袋を握り締める手に力がこもってしまう。
(サチコったら、ガマンできないのはあなたの方じゃないの?)
 大きく息をついて紙袋を廊下に置いたシホは、静かにリビングの扉を開けた。足音を立てずに室内に入る。
「んん……」
 リビングの中では、娘と恋人が夢中でお互いの唇を貪っているところだった。舌を挿し込み、唇を吸い、その度に喘ぐような声が漏れ出している。レイナは向かい合うようにしてサチコの足に跨り、サチコはレイナのスカートをたくし上げていた。
 二人がまだ服を着ている事にホッとしながらも、シホは目の前の光景に一瞬目を奪われてしまった。夕方のリビングで、愛しい娘が自分の恋人と舌を絡ませている光景は、どこか背徳的な淫らさを醸し出していたのだ。恋人に娘の唇を奪われてしまったにも関わらず、シホは甘やかな息を吐き出した。
 入口に背を向けていたレイナは気付かなかったが、反対側を向いてキスを楽しんでいたサチコはシホの帰宅に気が付いた。一瞬、視線を合わせて薄く微笑む。だが、レイナのお尻を触る手の動きは変わらなかった。少女のあどけない唇を楽しみながら、可愛らしいお尻を弄ったままだ。
 やがて、その手が娘の下着に掛けられたところで、シホはようやく声を掛けた。
「ただいま」
「……ママ!」
 レイナは慌ててサチコから離れようとしたが、サチコの手は娘のお尻を掴んだまま離そうとしない。悪びれる様子も全く無かった。
「おかえり、シホ。お邪魔してるわ」
「で、どっちが誘ったのかしら?」
「私よ、シホ」
 大きなため息をついたシホは、ツカツカと二人に詰め寄ると、レイナの腕を力強く掴んで引き離した。そのまま、娘を自分の正面に立たせる。
「ええと、ママ、コレはね……」
 言い訳を始めようとしたレイナに対し、シホは自らの唇で娘の口を塞いだ。そのまま舌を挿し込み、娘の舌に絡ませる。
 怒っているわけではない。レイナとサチコのキスシーンに陶然としたのは事実だし、いずれ娘も交えて淫らな行為に及ぼうとしたのも確かだ。
 シホの心が昂ぶっているのは自分のせいである。柄にも無く娘のことを考えて、ここしばらくは見守っているだけだったが、サチコの言う通り、したいようにすれば良かったのだ。
 娘の唇を奪いながら、シホはそんなことを考えていた。


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