変わり者の錬金術師(注意、性描写あり)-6
「っ……あー、これは……生理現象で……その、ラヴィは可愛いから……」
ルーディが気まずそうに視線をそらして身体を離す。
「けど、本当に無理やりする気はないよ」
男の人の『生理現象』というのが、どういうものかくらいは知っている。
辛そうなルーディの表情から、かなり無理をして我慢しているのもわかる。
「ぁ……」
このまま目をそらしてしまえば良い。
できる権限を持っているクセに放棄する変わり者なんだから。
そう思うのに……
「ね……どしたらいいか……ルーディは楽になれるか……ぁ……おしえて……」
羞恥で顔をいっそう赤くしながら、思い切って尋ねた。
これはまぎれもなく、ラヴィの引き起こした事態なのだ。
またやってしまった。
――私は、皆を不幸にする。
せめて何かできる事があるなら、少しでも償わなくては……
「こら。発言には気をつけるべきだって、言っただろ?君を抱いても良いってカン違いしそうだよ」
苦笑まじりに言われ、抱きしめられた。
「あっ!だ、だって……わたし……薬割っちゃったから……ぁ……」
「ラヴィ……」
唇が重なった。
生まれて初めてのキスは、とても穏やかで優しくて、真っ黒に尖った心臓も穏やかにしてくれるような気がした。
麻薬を欲しがる中毒者のように、夢中になって何度も何度もキスを強請った。
ルーディは欲しがるだけくれた。
互いの吐息が温度を増して交じり合って、溶け合う。
「は……ん、ん……」
再び身体の奥に、快楽が溜まり始めた。
暴力的なほど性急だった先ほどより、ずいぶん穏やかなものだったが、更に甘苦しく強烈な誘惑を帯びていて、ラヴィの身も心もグズグズに蕩かす。
優しいだけだった口付けが、激しく貪るようなものになっても、もう怖くなかった。
唇をこじ開けられ、舌を吸い上げられる快楽にひたすら溺れる。
「あっ!あっ!ま、またっ……ん、あああっ!!」
乳首を舌で舐めあげられ、切ないような快楽が、子宮の周辺をひくつかせた。恥じも外聞もなく叫びながら、暗灰色の硬い髪をかき抱いて、何度も絶頂に達する。
閉じた太ももの隙間に、火傷しそうなほど熱い塊が挟み込まれた。
「挿れるわけにはいかないし」
そう言われ、ほっとした。
こんな太いものが女の身体に入るなど、信じられない。少なくとも自分のそこでは裂けてしまいそうだ。
「は、ぁ、ああ……」
たぎった男の熱が、ぬりゅぬりゅと花弁を摩擦する。
「んっ……んんっ……は……きもち……いい……」
いつのまにか、自分から積極的に腰をくねらせ、良い場所へ導いていた。
「あ、ぁ、ぁ」
時折、先端が膣口をかすめて入ってしまいそうになる。
ルーディがその気にさえなれば、このまま貫かれてしまうのだ。
そうされた所で、ラヴィには拒否する権利などない。彼に金でこの身を買われたのだから。
恐怖感はあった。
だが、媚薬で判断が鈍っているせいか、それでもいいと思う自分もいた。
「はぁっ!!ぁ、ああっ!!」
何度も何度も熱い肉で花弁をすり上げられ、ぷくりと膨らんだ淫核も一緒に刺激されると、もうたまらなかった。
刺激的すぎる快楽に泣き叫びながら、ルーディにすがりつく。
「んっ!んんっ!!あ、あああっ!!るーでぃっ!!!」
気絶しそうな快楽に、つま先から天辺まで串刺しにされ、ほとんど全ての感覚が麻痺しかけた頃、ルーディが顔をしかめて低く呻いた。
「っ!」
腹の上に、生暖かい液体がぶちまけられる。
「あ……あ……」
ドロリと肌を垂れていくそれが精液だと理解したが、屈辱とは思わなかった。
「っは……ラヴィ……」
啄ばむような穏やかな口付けを、ルーディはもう一度くれた。
キスをしたのは今夜が初めてなのに、どこかよく知った感覚だと、ぼんやりした頭で考える。
そして、意識が混濁する寸前に、その感覚の正体に思い当たった。
大好きな焼き菓子をほおばった時の感覚だった。
――もう二度とないと思っていた、“幸福”という感情だった。