第1話-5
後輩 「ほら、並んで歩くときって、それなりの適正距離ってものがあるじゃないすか」
先輩 「う〜ん、まあ、そうかもな」
後輩 「でしょ〜。でも、その適正距離が適正じゃないんですよ」
先輩 「分かりにくいよ。もうちょっと、分かりやすく言えよ」
後輩 「も〜う。だからぁ、内田さんが俺にピッタってくっついてるんすよ」
先輩 「くっついてる?」
後輩 「そう。こう……俺の肩に寄り添うような感じ?」
先輩 「本当かよ」
後輩 「本当ですって」
先輩 「きっと、あれじゃないか、妖しいホテル街だから怖かったんじゃないか?」
後輩 「そう。俺も最初はそう思ったんですけどね」
先輩 「違うのかよ」
後輩 「違いました」
先輩 「どう、違ったんだよ」
後輩 「それがですね、前の方に電車とかが見えてきて、もう駅も近いのかな〜なんて思ってたらですね」
先輩 「思ってたら?」
後輩 「内田さんが言うんですよ」
先輩 「何て」
後輩 「なんか、暑いね。汗かいちゃった……」
先輩 「はぁ〜〜?」
後輩 「もう一回言わないとダメっすか?」
先輩 「いや、いい。で、ど、どうなったんだよ」
後輩 「で、俺は、じゃあ、休憩でもしていきますか?って言いました。そしたら……」
先輩 「そしたら?」
後輩 「もう、びっくりですよ」