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白い世界
【幼馴染 官能小説】

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セカンドストーリー-3

 「え?」

 突然の申し出に思わず固まった。
 彼の目に映る私が驚いた顔をしている。

「嘘じゃないっていうなら、俺の事避けてないっていうなら、夏休み中に俺に会ってよ」

「無理だよ。だって夏休みは勉強しなくちゃいけないし、来年、私受験だからさ。頑張らないと大学に行けないし。それに夏休み終わると勉強難しくなるから、今のうちに復習しておきたいんだよね。成績あんまり良くないからさ」

 とっさに嘘をついた。勉強は婚約者が教えてくれるから成績はそれなりによかった。私立校だから勉強しなくてもそのまま大学までエスカレーター式に上がっていくからみんなは焦っていない。

 「編入するの?」

「あ、うん。ほら、将来のために経営学とか学びたいし」

 「経営学ならここでだって学べるだろ!?」

 確かにこの学校でも経営は学べる。でも今のままでは彼もいっしょに同じ大学に通う事になる。高校が一緒というだけでも気まずかったのに、大学まで同じ所に通うなんて出来なかった。

 「でも、ここの学校家から遠いし。制服が可愛いからいいかなって思ったけど、やっぱり片道1時間はきついよね」

 苦笑いの私。でも彼は笑わない。

 重い空気の中、彼は何も言わない。
 
 遠くに聞こえる下校する生徒の楽しそうな声。
 チャイムが鳴って下校の時間を告げる。もうすぐ楽しい夏休みの始まり。だけど彼がどいてくれない。家に帰りたいのに。
彼が苦しそうな顔で私を見ている。

 どうしてそんなに苦しそうな顔をしているの?どうして私にかまうの?

 「もう帰ろう。早く帰らないとあっという間に夏休みが終わっちゃう」

 笑顔が引きつっているのが分かる。だけどこのままここにいたらいけない気がする。
 何も気がつかないふりをしてその場をやり過ごさないと怖いものが来る。

 「じゃあ一緒に帰ろう」
 
 「何で?」
 
 言ってからしまったと思った。だけどそう思った時にはもう遅い。
 
 「何で?」
 
 私が言った事を彼がもう一度繰り返す。
 
 今まで聞いたこともないくらいの冷たい声がした。
 初めて聞くその声に全身に恐怖と不安が広がる。自然と体が震えだして、思わずカバンをぎゅっと握りしめた。

 彼の綺麗な顔に一瞬にしてしわがよる。
 今さら訂正はできないし、言訳も聞いてくれない。

 「そうかよ」

 彼の大きな目がスッと細くなる。その行動に彼が裏世界の人間の息子だと思い知った。
 
 逃げなくちゃ!でもどこへ?


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