それぞれの終末-3
激しい揺れに耐えられず、健史は壁にその身を預けた。しかしすぐに再開する。パズルはまだ完成していない。まだ逝けない。このままじゃ兄貴と会ったとき何も言えない。
「まだだ。神様、どうか」
奇跡はいらない。
僕たちが死ぬことはかまわない。
ただ、あと少しだけ時間が欲しい。
そんな願いさえ、僕には過ぎたものなのか。
残り数個のピースを握り締める。あとは、はめこむだけだというのに、揺れが激しくて手元が定まらない。
――― 終末は目前
!!!!!!
いっそう激しい揺れが世界を襲う。
赤い空は地に達し。
その瞬間、全てが無くなっていく。
――― 地球は脆く 命は儚く
健史が最後に目にしたものは、バラバラに散らばっていくパズルだった。
視界は白く染まり、己の存在が消え行くさなか、聞いた。
健史は、確かに聞いた。
『ありがとう健史、仲直りをしよう。』
それは懐かしい響きだった。
バラバラになったパズル。
バラバラになった地球。
けれどその絆だけは。
それが唯一の救い。
それが絶対の救い。
だから健史の人生は、幸せに満ちていた。