べっ甲飴-2
その家は村一番の大きな瓦屋根の家で、この村一帯を治めている地主の家だった。
地主にはとても美しいと評判の娘がいたが、体が弱く具合が悪いと一日中床に伏せっていた。
彼女の名前は桃子。
「ももこ」とかいて「とうこ」。
美しい黒髪。ほっそりとした体。外に出ず家の中で育った彼女の肌はとても白かった。少し薄い唇の上に引かれた紅がつややかに光る。
鮮やかな水色の振袖を着た少女。
日本人形のようだ。それが桃子さんに抱いた第一印象だった。
美しいその人は僕を見て微笑んだ。
「貴方が新しい主治医の先生?」
どこかまだ幼さを感じる声。
少しだけ高い声は、桃子さんには不釣り合いだった。
「初めまして。桃子といいます。これからよろしくお願いします」
「初めまして。鬼頭です。こちらこそよろしくお願いします」
それが僕と桃子さんの出会いだった。
−−−
月に2回の往診。
僕は桃子さんの体調を見に、三倉の家を訪れる。
この村には僕しか医者がいない。
町には大きな病院や名医がいる。だが桃子さんはただ体が弱いというだけで、そこを除けば健康体だった。
町医者を呼ぶほどの症状ではない。だから村医者でも十分に対応できる。
それでも心配性な三倉の当主は月に2回、桃子さんの往診を依頼してくる。
彼女の話しは僕の知らない事ばかりで聞いていてとても楽しかった。
桃子さんも楽しそうに僕の話しを聞いてくれる。
僕にとってその時間は何よりも大切で何よりも尊いものだった。
だけど、時々僕は想像してしまう。
聴診器越しではなく直に桃子さんの音を感じたい。
無防備に口を開ける彼女に、自分の舌を絡ませたい。
ほっそりとした首を自分の方へ引き寄せ、そっと口をつけたい。
少しだけはだけている浴衣の下にある柔らかな丘に触れたい。その上に乗っている突起物は美しいピンク色なのだろう。
桃子さんの膣(なか)はどうなっているのか。
誰も触れていない部分に触れたい。小さく狭いその場所はどこまで熱く、そしてどこまで敏感なのだろう。
触れられた時の桃子さんの反応が見たい。よがる姿や切なく鳴く声を聞きたい。