鶴女房-10
「おつるさん…! 俺っ!!」
「ひぁあっ!! よ、与平さまっ!? ふぁっ!!」
発情し、理性を失った彼はおつるの腰を鷲掴みにしたかと思うと、下半身を荒々しく上下し始めた。
「あっ、あっ、んぁっ、んぐぅ、はぁ! よ、へい、さ、ま…! は、はげし…ひぅ! すぎ、ますぅっ…んっっ!!」
血に飢えた肉食獣の如く、喰らい付くように雄肉を彼女の躰の芯に、何遍も何遍も深く強く打ち付ける。
与平が下から突き上げる都度、肉棒の先端が子宮の突き当りを叩き、衝撃を受け止めるかのようにおつるの華奢な肢体が揺さぶられる。
おつるは、秘所を衝かれるたび悲鳴にも似た短い声を上げる。目の焦点が定まっておらず、口の端からだらしなく涎を垂らした彼女の顔は、体裁など微塵もない、肉欲に駆られた雌の顔そのものであった。
「あああぁ!! も、う、だめぇ…だめえ…!! アソコ…っい、イク…! イッちゃう…!! んあんっ!!」
快感を絶え間なく与えられたおつるは卑猥な言葉を連ね、悶えながら、やがて絶頂へと続く踏み段を一気に上り詰めてゆく。
彼女の興奮に呼応したのか、女性器がまるで「早く子種をおくれ」と催促するかのように中の襞々がザワつき始め、分身を一層追い立てる。
与平の一物もまた、限界に到達するまで秒読みに入った。
「おつる、さん…! 中に、出すよ…! うっ! ぐぅううあああ!!!」
「いく…いく…! いっ、くぅううううっ!!!」
与平が一際大きく彼女の身体を貫いたその寸陰。若い男女はほぼ同時に雄叫びを上げる。二人の視界が白く爆ぜた。
おつるの上半身は湾曲を描くように反り返り、ビクビクと痙攣する。秘所の尿道口から女の絶頂の証である潮を噴出させた。
与平の雄肉が彼女の中で暴れ、のた打ち回り、二度目にもかかわらず大量に迸った白い欲望が、子宮の中へ撒き散らされる。
おつるは暫し、全身を奔る快楽の電撃に身を震わせていたが、やがて張り詰めた糸が途切れるように、反り返っていたおつるの上半身は前のめりに倒れ、与平の身体にもたれかかる。
そうして、二人は肩で息をしながらしばらくの間、激しい運動の後の余韻に浸っていた。
「はぁ…はぁ…もう……。わたくしが与平様を、気持ちよくして差し上げるつもり、でしたのに…、逆に気持良く、させられてしまいました…」
余韻から抜けたおつるは、息を整え終えると、与平の耳元で力無くそう言った。
納得がいかず少し怒っているようにも聞こえる彼女の口調。与平にしてみれば、拗ねた幼い少女みたいで可愛らしく思えた。
「はぁ……だって…おつるさんが、あんなにも、色っぽかったから…つい…」
「与平様は…わたくしにそこまで、欲情なさって下さったのですね…」
「そりゃ、…もう」
「ふふ…。あんなにも激しく求められれば…女、冥利に尽きるというもの、ですわ…。――あら?」
おつるの膣からの感触で、与平のものがいまだ硬さを維持しているのに気づく。二度果てたというのに、肉棒は未だ萎える気配を見せず彼女の膣内で熱り立っていた。
「んふふ…。この様子でしたら、まだ与平様のは…満足していないようですね。」
「ああ、そうみたいだ…。俺、もっとおつるさんと…したい…」
「ふふ、嬉しいですわ…。――では、今度はわたくしに全てお任せを…。与平様は動かなくて構いません…、力を抜いて…このおつるめに委ねて下さい…」
「う、うむ…」
与平はおつるの言われるがままに身体の力を抜くと、おつるは上半身を密着させた体勢で、弧を描くように腰を動かし始める。
グニグニとした柔らかく弾力のある子宮口が、おつるの動きに合わせて亀頭を咥えたまま舐り回す。
分身で最も弱い部分を重点的に責められ、達したばかりで敏感になっていただけに、激しい快楽となって与平を襲い、甘い衝撃が下腹部を駆け巡る。
「はぁはぁ……与平さまっ…くぅ…どうで、すか…? きもち……いいですか…? んっ」
「ああっ、すごい…! 先っちょが…グリグリ押し付けられて…っ。気持ち、いい!」
彼女の丹念に愛でるような腰使いは、欲望の赴くままの粗野で暴力的な自分のものとは違い。相手を気遣い優しく、しかしじっくりと確実に相手を追い詰める、実に彼女らしい責め方だった。
自分の胸板に密着するおつるの暖かく柔らかい乳房の心地いい感触と、分身を下の口になぶられる快楽に。与平は、風邪を引いた時のように頭がボーっと熱くなり、腰がフワフワと宙に浮いているような心地いい感覚に陥る。
「んふふ……与平様の、お顔。とっても気持ちよさそうに、…あん、蕩けてらっしゃいますわ…はぅ…では、もっと、…気持ちよくさせて、差し上げますわ…」
おつるは弧を描く円周をより大きくする。すると肉棒全体を覆う膣壁の圧迫が増し、牛の搾乳のように蜜壷が分身をより強く締めつけ、絞り上げる。
「ひぅう! こ、これ…やばいぃ…!」
増々苛烈を極める快感の波に、思わず女娘みたいな声を上げる与平。
おつるは彼の反応にある種の達成感を抱きながら、自身もまた秘所を、煮えたぎるように熱い肉棒が掻き乱し、穿つ感触が与える、痺れるような快楽に身を焦がした。
「あっ…くぅ……ふぁ…はぁん!」
おつるの昂りに合わせて、より速く、より激しくなってゆく腰の動き。女は男に尽くし、男は女の奉仕を甘受し、女にも快楽を与える。
快楽が振り子のごとく相互に伝播され、二人の性の渇望は一層加熱してゆく。