〈不治の病・其の三〉-27
『これくらいなら“使える”んじゃないですか?』
『…だな。これならチ〇ポ入れられるな』
『一仕事終えたってカンジかな?このだらし無いケツ穴撮ってくれよ』
男は絵莉の尻肉を掴むと、力任せに割れ目を開き、繰り返された排泄に解れた肛門を剥き出しにした。
笑窪を思わせた穴は赤みを増し、まるで口紅でも塗ったかのような色気があった。
ヒクヒクと蠢く肛門は口づけをせがむ唇のようで、清純を気取った肛門が、遂に淫らな本性を露わにしたように見えた。
「……た…助けて……助け……」
もう絵莉は限界だった……恐怖に逃げ惑い、数人掛かりで押さえ込まれ、緊縛によって身体を吊られ、その女体も精神も蝕まれていく汚辱に……男達への憤怒などいつの間にか消え失せ、純一への救助の願いだけが頭の中を埋め尽くしていた……それは女性とは如何に弱く、守られるべき存在であるかという事の証左だ……他人を打ち負かす腕力の無い女性は、悲鳴で自分の危機を第三者に伝え、そして助けてもらう以外に手立ては無く、そこに“正義”が存在しなければ、もはや命運は尽きたも同然……。
『傷付いた?潮吹かされたり浣腸されたりしたもんねえ?』
『「変態」とか「馬鹿」とか叫んでた元気はドコいったのかな?睨んでこいよ、奥さ〜ん?』
『さっきの泣きながら糞漏らすシーンは最高だったな?このDVD買った奴は、あそこでヌクんだろうなあ……』
誰一人として絵莉の心痛を思いやる事もなく、ボロボロにされた絵莉を嘲笑う者ばかり……亜矢や麻衣と同じ悲劇から、逃れられる術は無い……。
『ほら、この時の自分が懐かしいだろ?』
「!!!!」
男がバッグから取り出して見せたのは、A4サイズ程の写真で、きちんとラミネートされていた。
横長で撮影された写真。
そのラミネートの上部の両端には30p程の紐が結ばれていた。
その写真に写るのは、仕事に行く純一を見送る自分の姿だった。
斜め右から撮られたソレは、間違いなく盗撮されたものだ。
髪を後ろに束ね、これ以上ない笑顔を浮かべている幼妻……あの日、あの時の自分。幸福しか感じられなかった“あの日”には、もう戻れない……絵莉の頭の中は楽しかった思い出が溢れ、そして涙の中に、悔しさが混じって、とめどなく流れていった……。
『幸福そうな顔してるねぇ?ムカついてしょうがないや』
「な、何するのよ!?もう私を離してよぉ!!!」
『まだ何も終わってないだろうが?これからだぞ?』
男達は絵莉に赤い首輪を着け、その首輪に先程のラミネートされた写真をぶら下げた。
凌辱の最中の表情と、幸福一杯の表情との対比は、とても同一人物とは思えないほどに変わり果てていた。