買われる欲望1-3
「はぁっ・・・」
蝶が花に近づくように突起物が加藤の体に触れるたびに、清子の息は上がり、囚われていく。
呼吸一つ乱さないこの男性の身体を舐めながら高ぶる自分の中心の熱がはがゆい。
理性の糸を切らし、息を荒げながらこの男に埋めて欲しいと思った。
清子の舌は自ずと加藤の下半身へと導かれる。
「んっ・・・」
清子の突起物が、熱を帯びた加藤の中心へと触れたその瞬間、清子は初めて悦びの声を上げた。
決して乱されることのない加藤の欲情を見た気がして、訴えるように加藤を見上げた。
清子の目は、加藤不在の屈辱と渇望で潤み、紅潮していた。
「フッ・・・ 」
加藤の口からため息に近い嘲笑が溢れ、加藤の熱い根茎がピクリと跳ねた。
加藤は満足げな笑みを浮かべ、清子の顎をクッと持ち上げた。
「もっと煽ってよ――――」
冷酷な眼差しで見下され、高慢な欲望に見透かされ、煽られ、清子はようやく水を得たようになにかが弾けた。
加藤の根茎に清子の熱い唇が吸い寄せられる。
「ふぅ・・・ん・・・」
清子は見ず知らずの男の象徴に、根元からたっぷりとくちづけをし、頂点の甘い花粉まで舐め取るように慈しんだ。
「くっ・・・・」
時折息を飲み込む加藤に優越を感じながらも、この熱く、男らしい幹に欲情されたくて清子は翻弄されていった。
清子の艶かしい腰はうねり、媚びるように加藤の足に乳房がまとわりつく。
「はぁっ・・・」
「んっ・・・」
二人の吐息が重なる。
男を求めて高ぶる女と、女を支配しながら快感に溺れていく男。
清子はそれを求めるように動きを早め、吸い付いた。手は蔓のように袋と肛門のあいだを往復し、粘度の高い音を立てながら男を責め立てる。
加藤は迫り来る快楽の波に顔を歪ませながら、自分の肉欲を愛おしむ女の火照った顔を見下した。
統制するかのように清子の頭を苦しがるところに押し込む。
「んぐっ・・・ふんっ・・・」
清子の舌と喉の奥が逃れるように暴れる。
苦痛に涙を浮かべる清子と裏腹に、熱い口内が男を責め立て極限に追い込む。
すこしだけ女を苦痛から開放してやると、女は自ら動きを早め、悶えるほどの快感を与えてくる。
ちゅぶっ・・・
熱く湿った音が規則的に刻まれる。
「もう・・・くっ・・・」
男は白旗を上げた。
清子は恍惚として加藤を高みに導く。
「んはっ・・・」
男は女の口の中でとめどない男の欲望を震わせた。
びくん、びくん、と褒美を与える根茎を、清子は余すとこなく吸い出した。
加藤は途方もない充足感の中で目を閉じ息を整えた。
清子は口から男の欲望を滴らせながら、ごくりとそれを飲み込んだ。
「・・・ご希望に添えたでしょうか?」
清子は悠美な笑みを浮かべながらひどく落ち着いた声で言った。
加藤はざわつく心を抑え、低い声で
「ああ」
とだけ答え、力なく横になった。
「汗かいちゃったのでお先にシャワー浴びていいかしら?」
清子は乱れた長い漆黒の髪を結い上げ、曇ったガラス貼りの浴室に消えていった。
女の匂いを漂わせたまま、魅惑的な影を残して。
加藤は本当に霞に消えてしまいそうな後ろ姿を見つめた。