深まりゆく関係-8
「ねえ、ふたつお願いしたいことがあるんだけど」
『僕に出来ることなら、なんでも』
岡田にトオルから聞いた話をした。女たちの嫉妬から意地悪をされそうなこと。おそらくは薬を使用しての輪姦。電話のむこうで息をのむ気配があった。
「別に複数の男たちを相手にするのはかまわないの。でも薬なんて使われたくないし、痛いのは嫌いなのよ」
『・・・それで、僕は何をすればいい?』
「むこうで少し様子を見て、危険な雰囲気を感じたら連絡するわ。そのときは迎えに来て欲しいの」
『なんだ、そんなことか。僕はまた、その三人をまとめて消してくれとでも言われるのかと思ったよ』
「うふふ、そんなことは言わないわ。お願いできる?」
『もちろん、かまわないよ。ただ、そんなことがわかっているのなら・・・今回はキャンセルしたほうがいいんじゃないのかな?』
「だめよ、斎藤くんと同じ部屋で寝ることになっているの。こんなチャンスは逃せないわ」
『なるほど、君らしいよ・・・あともうひとつのお願いは何かな?』
「今夜、岡田さんとセックスしたいの」
岡田は今度は大きな声で笑った。落ちついた声を聞いていると、どうしてもその腕に抱かれたくなる。何も考えずに乱れたくなる。トオルにさんざん舐められたあの部分は、いまも熱を持ったまま疼いている。
「だめ?」
『いいよ。そうだな・・・夜遅くなるかもしれないが、それでもよければ迎えに行こう』
電話を切った後、エリナは自らの裸体を鏡に映してしげしげと眺めた。この体はいったいどこまで貪欲なのだろう。どんなに与えられても、満足するということを知らない。けれども、エリナはそんな自分のことを決して嫌いではなかった。
同じだけの時間を、林田みずきは暗闇の中で喘ぐようにして過ごしていた。怒りは怒りを招き、憎悪はまた憎悪を呼ぶ。斎藤への届かない想い、エリナへの憎しみ、そしてトオルを手に入れたマミへの嫉妬。いくつもの不満を抱えながら、みずきは狂ったようにマミを痛めつけることに没頭していた。
(つづく)