第2章〜第3章-2
高校一年のとき、同じクラスだった三上志穂は、どことなくあどけない感じがある級友だ。級友といっても今はとなりのクラスなのだが、奈美とは話が合う大事な友だちである。
昼休み、校庭のすみにある広葉樹の下で、三上志穂と会った。
「奈美さん、私のお姉ちゃんの彼氏が困っているの。別れた彼女に付きまとわれて、どうしたらいいのか…」
「そんなこと、私に言われても困る」
「奈美さん、30分だけでいい。篠塚君の彼女のふりをしてあげて」
「どういうこと?」
「詳しくは篠塚君から聞いて。放課後にここで待ち合わせでいいでしょう?」
「ここでって…まさか、お姉さんの彼氏って、この学校の生徒?」
「うん、そうなの」
志穂の話を聞いて唖然とした。志穂の姉は22歳だ。年下、しかも高校生が彼氏だなんて…。世の中、狂っている。
午後四時半、校庭のすみにある広葉樹の下で待っていると、志穂と篠塚がやってきた。篠塚はどことなく野性的なイメージだった。目がギラギラしている。学生服を着ていなければ、20歳くらいに見えるかもしれない。
「こんちは。三年の篠塚誠一です。はじめまして」
「立野奈美です。はじめまして」
「いやあ〜シホリン、奈美さんてうわさどおりのべっぴんさんだあ」
篠塚はいきなりテンションが高かった。
「そうでしょう。彼氏がいないのが不思議なくらい。綺麗でしょう」
志穂は篠塚に調子を合わせた。