恋敵は"ちぃちゃん"-6
「逆だよ!影が濃くなれば、そこに影がある事が目立つようになる....そこでパフォーマンスが悪いと、やっぱり....っていう事になるけど....逆だと、今まで気づかなかったけど....この子もいいな!って思ってもらえる....」
「そうだね!」
「それに、今まで引っ込み思案で目立たなかったけど....少しずつ自分を出すようになって....それが自信に繋がって....そうやっていい方に転がって行ったんじゃないかな....なんて俺がエラそうに言える立場じゃないんだけどね!」
「そんな事ないよ!今までずっと"ちぃちゃん"の事推してきたから言えるんじゃないの!」
「そうかな....」
「そうよ!」
雅樹は嬉しそうに笑った。
「でも....これからが大事なんだよね....きっと世代交代を意識した選抜を行って来るだろうから....忘れられないようにしないと....やっぱり選抜入りした"ちぃちゃん"を見たいから.....」
雅樹は本当に嬉しそう話していた。
私はそんな雅樹を見るのが幸せだった....そして"ちぃちゃん"が羨ましかった....
「で....何?」
「えっ?」
「何か用があったんだろう?」
「うん....」
(雅樹の喜ぶ姿が見たかったから....)
なんて口が裂けても言えなかった....
「今日はありがとうね....」
「いや....俺のほうこそ....大丈夫?あんな事しちゃって......」
「うん!もうあんなメに合いたくないから私には何もしてこないって....」
「なら良かった!」
雅樹はパソコンで"ちぃちゃん"の情報をチェックしていた。
(何かあったら....また私の事を守ってくれる?)
口から出そうになったがグッとこらえた....聞きたくない答えが帰って来そうで....
「じゃぁ私帰るね!」
「ああ....」
雅樹はパソコンの中の"ちぃちゃん"に夢中になっていた。
私は自分の部屋に戻って、部屋のカーテンを閉めた後、その窓に寄りかかって
「チクショー!!何であんな奴好きになっちゃったのかな....」
私は思わず声に出していた....
それから机の上のフォトフレームの中で微笑んでいる恋敵を指差して
「絶対負けないんだからね!いつかきっと....あいつを振り向かせてみせるからね!」
私はそう宣言していた....
私の恋敵は天使のような笑顔を浮かべていた....