手癖-1
「おやぁ、今日も麻衣ちゃんは学校帰りに万引きしに来たのかな。」
ホコリっぽい部屋で煎餅をかじりながら、市川は監視カメラに映る映像を覗いていた。
この男、一応ここの古本屋の店長である。
その男が覗く画面には、麻衣ちゃんと呼ばれている本人であろう少女が、周りをキョロキョロしながら怪しい動きをしている。
そして、1つの漫画を取ったかと思えば、そのまま学校指定のカバンに押し込んでしまった。
「あーあカバンに入れちゃった。そっかそっか。今日こそ麻衣ちゃんを罰しないといけないな。」
そう言うと、男はペロリと舌なめずりをした。