無邪気な性-1
「ただいま〜。」
仕事から香織が帰ってきた。
「ママおかえりなさい〜!」
一目散にに駆け寄る友美。香織は友美を抱きしめる。
「淋しくなかった〜?」
「うん。おにぃちゃんがあそんでくれたからへいきだよ?」
「そうかぁ。よかったね、おにぃちゃんに遊んでもらって!」
「うん!」
香織は靴を脱ぎ中に入る。
「隼人、只今〜!おなかすいたでしょ?…って、いつもごめんね?」
隼人はご飯を炊きながらカレーを作っていた。
「おかあさん〜、た、たまねぎきって?おれたまねぎにがてなんだよ〜。」
「あとはママがやるからね?ありがと、隼人!」
頭を撫でる。父親が亡くなってから隼人は香織の家事をいつも手伝っていた。そのうち、一緒に作っていた料理はだいたい作り方を覚えてしまった。
「隼人はほんとに頭がいい子だね〜。ママ、助かるわ。」
「じゃあおふろいれとくよ!」
「うん。ありがとね?」
隼人は風呂を入れに行った。それからはまた友美の相手をしている。
(本当、いい子。隼人にはいくら感謝してもしきれないわ。)
まるで亡くなった夫の生き写しのようだ。彼もまた優しかった。子供心に父親の代わりをしようとしているのかな?、そう思うと可愛くて仕方なかった。
「はい、できたよ?食べようね!」
「いただきまーす!!」
香織は帰ってきて休む間もなく動いた。隼人が頑張っている姿を見ると休んでなんていられなかった。
「ごちそうさまでした!」
家族三人、気持ちもお腹も満腹だった。