凌辱の部屋-5
聞き覚えのある声に振り向く。今回のチームリーダーにわたしを推薦してくれた部長だった。50代半ばの部長は、とても優しくて仕事ができるひとだ。でも太っていてハゲていて、女の子たちは「触られるのもイヤ」なんてコソコソ言ってる。脂ぎった顔も手も、お世辞にも清潔感があるとはいえない。
「部長・・・す、すみません、わたし、帰ります!」
慌ててシャツのボタンをとめようとしたのに、指が震えてうまくいかない。部長が笑いながら近づいてくる。べっとりとした手がわたしの肩に直接触れる。鳥肌が立つ。煙草やこの年齢の男性特有の匂いが漂ってきて気持ちが悪くなる。
「いいじゃないか、続ければ」
「やっ、はなしてください!」
「知ってるよ。こんなふうにするのは、初めてじゃないだろ?」
部長の顔を見る。にやにやとわたしの体を眺めまわしている。たしかに、ここで自分を慰めるのは初めてじゃない。これまでも何度も同じようにやってきた。みんなが帰った後の、この場所で。
「・・・見てたんですか」
「ああ。あんなに大胆なポーズで喘いでいたら、見ないわけにはいかないだろう」
どうして。みんなが帰ったのを確認していたつもりだったのに。唇を噛む。部長がケータイの画面をわたしに見せつける。そこにはさっきまでのわたしの大きく足をひらいた姿が映し出されていた。