凌辱の部屋-2
もう時間も遅かったので、お祝いムードのみんなを「明日からの仕事に備えて体力を温存しておいて」と追い出すようにして帰したあと、ひとり自分のデスクを見つめていた。
積み重なった資料、何枚もの申請書、差し入れのお菓子、同僚からの「カンバレ!」のメモ。頑張ったもん、ほんとに。涙がにじむ。
みんなが帰ってガランとした部屋の中、わたしの中の興奮はいつまでも冷めず、熱くなった体の火照りも引くことは無かった。仕事で成功したとき、わたしはよくこういう状態になる。心臓の鼓動が速まり、まるで熱愛のさなかにいるような、そんな気持ちになる。
こんなときにセックスができる恋人がいればいいのにな。わたしはきっと貪欲に相手を求め、積極的に腰を振り、誰よりも淫らな女になることだろう。
男に性欲があるように、女にだってソレはしっかりとあるのだ。男が欲しいなんていうとものすごく下品に聞こえるかもしれないけれど、面倒くさい恋愛を抜きにして体の快感だけを求め合いたい。でもそんなことは現実には難しい。
不倫の泥沼に巻き込まれるのも、「ヤリマン」なんてありがたくもない呼び名で陰口を叩かれるのもごめんだった。その日限りの相手を拾うのも病気を含めて危険が多すぎる。相手がいないというのはこんなにも不便なことだったのか。ひとり、ため息をつく。