朱里_セフレごっこ。-5
『あ…ン!おくゥ…!す、ごいィ…!』
セックスしている時の、リズム良く奏でられるからだのぶつかる音が好きだ。ぐちゅぐちゅ粘っこい愛液の音も。普段は絶対に発さない、自分の猫撫で声も甘ったるい嬌声も。
でもそれよりも好きなものがある。太一の汗ばんだからだ。私に欲情してぶつける熱。私に被さり赤く上気した頬。見つめてくれる蕩けた瞳。荒く漏れる息づかい。ふやけた表情も、あ…こんな風に、眉にしわを寄せて苦痛に耐える表情も。
「…ん…っ!朱里、締めす、ぎ…ッん!もちょい力緩め、ろ…」
『そん、な…ッン!無理ィ…!あっアん!たい、ち!もっと突いてェ…!』
「あー、ッ…も、あんま保たないかんな…!」
苛立ちと切なさを帯びた吐息交じりの声で、挿入したまま器用に脚の位置を変えられる。片脚は太一の両脚の間に忍ばせ、もう片脚は太一の肩にかけられた。その姿勢でキスをされると自然と腰が持ち上がり、太一の熱い塊が私の壁をこすった。あ、ン!…深、いィ……!
「―――ッん、あ!朱里…もう出る…!」
『あっ!ンんっ!や、ンあっ!』
私もォ…!そう言いたいのに、体位を変えたことで深く捩じ込まれている上、挿入の速度も増して全く言葉にならない。あ…―――イく!や、ンんん!イっちゃう―――!
私の痺れに呼応するかのように太一も震え上がり、勢いよく出た精液は私の顎に飛び散った。
『…ヤだからね、私。太一とつき合うとか。』
「うーわ…ヤッた後の一言目がソレってなくない?」
終わってからも裸のままで、太一がたくさんキスを降らせてくれるのがいつものお決まりパターン。だけど今日はいつもと少しだけ違う。キスの時間がやたらと長いし、私を後ろから抱きしめる太一のからだもいつも以上にあたたかかく感じる。
―――いやいやいや。うっとりなんてしたくない。幸せだなんて思いたくない。こんな感情、そのうち私は自分で身を滅ぼしてしまう。だから。
先に言っておかなければ、そう思った。