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真夜中の淫謀
【レイプ 官能小説】

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宴のあとで-6

 庭にあった大きな石を振りあげて祖母の頭を殴りつけた。がつん、とか、ぐしゃ、とか、そういう嫌な音がした。ゆっくりと土の上に倒れた祖母は、目と口を大きく開いたまま動かなくなった。土の上に赤黒い液体が広がっていく。

 母と男はひそひそと何事か囁きあった後、庭の隅に置いてあった園芸用のブルーシートで祖母をぐるぐると巻き、ふたりで抱えあげて庭を出て行った。

 誰もいなくなった庭で、エリナは再び泣き始めた。誰の名を呼んでいいのかわからなかった。祖母が倒れていた場所に立ってみる。虫たちの声が大きくなる。濃厚な血の匂い。崩れかけたブロック塀のむこうには、美しい満月が輝いていた。

 エリナは土や泥を払い、大急ぎで寝ていた部屋へ戻った。布団をかぶり、目が覚めたらママは元の優しいママに戻っていますようにと祈りながらきつく目を閉じた。

 そのあと、何がどうなったのかはよくわからない。

 翌朝、母はいつもと同じように優しい笑顔でエリナを起こしてくれたし、前の日に約束した通り水族館にも連れて行ってくれた。祖母はある日突然失踪したことになっており、父と母の関係にも特に変化は無かった。成長してから、あの夜に見た場面が意味することを理解した。

 自分が見たものを誰かに話したことは一度も無い。口にしてはいけないことのような気がした。それを話してしまったら、闇に飲み込まれてしまうような恐怖感があった。

 その日を境に、エリナは欲しいものはどんな手をつかってでも手に入れなければならないと思うようになった。手段の正当性など関係は無い。手に入れてしまったものが勝ちなのだ。それは、おもちゃでも、お菓子でも、男でも。

 そして都合の悪いものは排除しなければならない。母が祖母を排除したのと同じように。

 遠い昔の記憶。いまとなってはどうでもいい。すでに父も母も他界している。ふたりの死に何の感慨も持てなかったことも、もしかしたらあの夜に関係あるのかもしれない。それも、今となってはわからない。


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