加藤エリナという女-6
その後は何事も無かったかのように平穏な中学生活を続けたものの、やはりエリナの中の欲求は日に日に強くなっていった。一刻も早く男と体を重ねたい。でも彼女のまわりにいる同級生たちはそういう対象になり得なかったし、それ以上うかつに教師に手を出すのもためらわれた。
仕方が無いのでエリナは夜毎に自身の指で欲求をなだめることにした。
毎晩入浴後に自室のベッドの上に鏡を置き、全裸の姿を映してみる。そして男性教師が彼女にそうしていたように、大きくふくらみをもった乳房を丁寧に揉み、固くなった乳首を指先でくるくると撫でた。
熱いため息を漏らしながら鏡に目をやる。そこに映る自身の姿はとても刺激的で、それを見ることで彼女の足の間はしっとりと潤った。足を開き、その中心へと指を滑らせる。くちゅくちゅと音をたてながら指が飲み込まれていく。その奥にある気持ちのいいところをみつけると、そこを何度も擦りあげた。
「あ、あぁっ・・・んっ・・・」
背筋をのけぞらせ、両足を震わせながら快感を味わう。何度も繰り返すことで、彼女は自身を上手に絶頂に導くことができるようになったけれども、それは本当に欲しているものから比べると非常に物足りなく、味気ないものだった。
そしてある日、母親が仕事の関係で1週間ほど家を空けたときのこと。
いつものようにその行為に没頭している最中、鏡越しに背後のドアが細く開いているのが見えた。これまでにも何度かこうしているときに視線を感じることがあった。でもずっと気のせいだと思っていた。
まさに絶頂を迎えようとするその瞬間、ドアの隙間からせつなげに彼女を見つめるふたつの瞳が鏡の中にはっきりと見えた。指の動きを止め、くるりと振り返って瞳の主に声をかけた。
「パパ・・・?」
ドアは乱暴に閉じられ、大慌てで階下へと走り降りる足音が聞こえた。エリナは濡れた指先と股間をティッシュペーパーで拭い、全裸のまま鏡を見た。
その表情は新しい『男』を見つけた悦びに輝いていた。