カノジョノキモチ-8
それからも、ミクのアパートに通う日々が続いた。
僕が料理を作り、その後一緒に勉強する。そして、些細な会話などを楽しむ。
彼女が楽しんでいるかは分からないが、僕にとっては心休まるひとときだ。
進路を聞いてみた。地元の大学への進学を考えているという。
成績は悪くはないが、同じ大学への進学となると、僕はボーダーライン上という所だろう。
彼女は、たぶん楽勝のはずだ。
僕の合否はさておき、彼女はこのアパートから動かないということらしい。
何かの理由で彼女が突然いなくなる。
実は僕が恐れていた事なのだが、それは話を聞く限りでは当面ないと思い、安心した。
自分の進路などさほど真剣に考えた事もないが、とりあえずその大学を目標にしよう。
少々安直だが、4年もあれば、いろいろ考えるには十分なはずだ。
それに、彼女との関係も深められるだろう。
今、僕の向かい側で座って勉強する彼女は、あずき色のジャージを着ていた。
色気など、皆無である。だが、彼女は頭が良かった。
色気のある格好をして、僕を刺激しないようにしているのではないか。
既に肉体関係があるが、素の彼女とはキスひとつ無かった。
まだ僕は警戒されているのだろうか。なんとか、関係を進展させたい。
彼女の顔を眺めた。真剣な表情で勉強をしている。まっすぐな瞳が美しいと思った。
その視線に気づいたのか、真面目にやんなさい、と声が飛んできた。