雨のち三角-9
本当は、お前もこうなる事を望んでいたんじゃないのか?
親友の下で喘ぎ絶頂する彼女の姿を想像して、劣情を催していただろう?
そうかもしれない。
僕は、彼女とタクヤがそういう関係であることを、心の何処かで妬んでいたのだ。
勃起がトランクスに引っかかり、弾き出てきた。彼女の上に僕は覆いかぶさった。
その僕の唇を奪うように、彼女はキスをしてきた。唇を舌で犯すような、キス。
リコの激しい渇望と興奮が、僕に伝わってくる。僕の勃起が、マコの粘膜をこすった。
もうゆっくり前戯をするという余裕は、僕にも、たぶんリコにも、無かった。
下から、腰を動かし、勃起を導く。ヌッ……ヌムムムム……僕とマコが繋がった。
ああっ、とマコが少し声を出した。
「あ、ハッ、ハッ、ケンジ、動いてェ」
これが、マコの中……狭くて、ヌルヌルで、カリ首が彼女の内部によくひっかかった。
膝にトランクスが絡んで十分に動けない。彼女が、下から腰を突き上げてきた。
ヌッチュ、ブッチュ、グッチュ……
マコと僕がこすれ合って、股間から卑猥な音が響いた。目の前の彼女の乳首を吸う。
あっあっ、と大きな声をマコが漏らした。彼女の上着を口に噛ませた。
ムッ、グッと、くぐもった声が、股間から出る音と合わせて、彼女の口から溢れでた。
「マコ……もう、僕」
彼女は上着を噛み締めたまま、僕を抱きしめると、そのまま内ももで僕の胴を挟みこんで揺れた。
マコ、マコ……。彼女の締りに耐えたが、もう限界だった。
僕の勃起から、何か引きぬかれていくようだった。僕から、彼女へ。たくさん流し込んだ。しばらく、マコに抱きついたまま、余韻を味わった。
マコはまだ下腹部を僕に擦りつけていた。視線がどこか彷徨い、正体をなくしていた。
口に噛ませた上着をとると、優しくキスをした。彼女が戻ってきた。マコが僕をみつめる。女の顔だった。僕も、たぶん男の顔を見せていた。お互い、呼吸がまだ荒かった。
「……ケンちゃん、愛してる」
「……」
「ケンちゃんは、言ってくれないの?」
「マコ、愛してる」
その時のマコの笑顔は、忘れられない。
禁断の強力な何かを手に入れた、魔女のような顔。
しかしどうしようもなくその顔に、僕は魅入られてしまった。
また、彼女の中で大きくなり始めた。
トランクスを脱ぎ去り、今度は自分で彼女の中を掻き回す。マコが喘ぎ始めた。
タクヤは何事もなかったように、寝息を立てていた。
***
「タクヤは何かあると、あたしじゃなくて、まずケンちゃんに相談するの。今でも」
「そうかな、きっと昔からのクセになってるんだよ」
「ケンちゃんも、タクヤを通してしか、あたしを見ていないような気がしたよ」
「そんな事」
「あたし、ふたりにも嫉妬してたの。ふたりの間に割って入りたかったの」
「いつも一緒にいて、楽しかったじゃない」
「楽しかったわ。でも、もっと愛されたいの。ふたりから、愛されたい」
「……えっと、それは」
「あなた達があたしをそう仕向けたんだから、責任、とってくれるよね?」
マコはニコッと微笑んだ。いつものマコの顔。でも、以前と何かが少し違っていた。
今までどおり、でも、微妙な違和感。それを、言葉では説明できそうにない
マコは戸惑う僕の頬にキスをすると、そのままシャワーを浴びに行った。
マコを愛している。そう、言ってしまっていた。もう、撤回しようがない。
窓を少し開けると、小雨は既に止み、満月がきれいに見えていた。
なぁ、どうする、これから?
僕は頭を掻きながら、のんきに眠るタクヤに、そして自分にこれからの事を問うていた。
−完ー