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雨のち三角
【幼馴染 官能小説】

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雨のち三角-2

「ケンジィ、ちゃんと、聞いて、んのかよォ、俺の、話ィ〜」
「はいはい、聞いてるよ、タクヤ」
「ケン、ジ、よぉ〜、お前、は、俺のさぁ、兄、弟――」
「ちょっと、タクヤ、大丈夫? ちょ、お〜い、寝ちゃったの?」

 タクヤは酒は好きだが、弱かった。
 筋骨隆々の大男のくせに、ビールを一缶飲めば呂律が回らなくなってしまう。
 二缶飲めば、まず酔いつぶれる。それがわかっているのに、酒をよく飲んだ。
 酔いつぶれるのが気持ちいいからなのか、悩みでも何かあるのか。
 親友と言えども、人の心の中までは、見通すことが出来ない。
 
 しかし今日はまた、随分早くダウンしてしまったものだ。
 よほど、疲れてるのかな? 部活動の練習? それとも、何か他にあるのか?
 マコが、心配、というより呆れ顔で、タクヤに厚めの上着をかけてやっていた。

「ここんとこ、ずっとこんな調子なんだよねェ……」
「タクヤ、どこか体の具合でも悪いの?」
「ううん。でも、なんか最近すぐ寝ちゃうの、あたしをほっといてさ」
「へぇ、タクヤでも何か疲れるような、しんどいこと、あるのかな」
「さぁ、そうは見えないけど……あ、もしかしてあたしがそういう事させてるっていう意味!?」
「は?……あ! いやいや、そんな……そういう、変な意味じゃ、なくて」

 ネコのように大きくて小悪魔的な瞳を半目にして、リコはジッと僕を睨んだ。
 スレンダーな体に、ピッチリしたチューブトップ、ほとんど下着のような短パン、茶色のショートボブ、そして小さな顔。
 気まぐれで、奔放なネコ。マコを例えると、そういう風になる。
 
 だが、奔放ではあっても、ネコほど気まぐれではなかった。
 まず、タクヤに忠実だった。そして、僕の言うことも何でも聞いてくれた。
 彼女は僕らを誰よりも信用してくれていた。僕も、同様である。
 だから、マコは僕の親友なのである。

「ケンちゃんってさぁ、結構、ムッツリなとこ、あるよね〜」
「僕は、タクヤを心配して、悩み事があるのかなって思って、言ったの!」
「ぶ〜、なにそれ、奥さんみたい」

 マコはプイッと横を向くと、部屋の脇においてある、大きめのソファに小柄な体を横たえて、大きくノビをした。まさに、ネコそのものに見えた。
 タクヤはまだ台に突っ伏して寝ていた。あとで、布団敷いて寝かせないといけない。
 
 マコはソファに寝そべったまま、僕の方をじーっと見ている。
 言いたいことがあるけど、なかなか言い出せないような、そんな顔だ。
 マコにも、なにか僕らに隠しているような事があるのだろうか。


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