先生の手、先生の口-6
顔を真っ赤にしながら口を開く山中。
「先生!」
「何ぁに??」
「お、俺…もう我慢できないんですっ!」
「何が?」
呼吸を乱しながら気持ちを吐き出す山中。
「俺、何してても先生の事、考えちゃうんです!」
「私の事?」
「はい…。胸元が気になっちゃうし、テニスしてる時、脚見ると…。ダブルスしてて後ろから先生のお尻とか見てるともうおかしくなりそうになっちゃうんです!!」
正直な気持ちを吐き出す山中。
「…興奮させちゃってるって事、かな…?」
「あ、別に先生は普通にテニスしたりしてるだけなんです!俺が勝手にスケベな気持ちになっちゃってるだけで…スミマセン…。」
冴香を困らせたくない一心で弁明する。冴香は少し俯いてからゆっくりと口を開く。
「ゴメンね?山中君が悩んでたのは私のせいなのね…?それなのに悩みを話せだなんて言っちゃって…私が全ていけなかったのね…」
今にも泣きそうな顔をする。
「ち、違うんです!先生は俺の事心配してくれてるのに、自分が下心を持ってるせいなんです!先生には感謝してるんです!」
必死な山中。
「いいえ?先生が悪いの。思春期の生徒の前で刺激的なカッコしてしまって…。自分がカワイイと思ってるテニスウェアも、みんなにしたら刺激を感じてしまうよね?注意が足らなかった。私、教師失格だわ…。本当にゴメンナサイ…」
涙目で頭を下げる冴香。あたふたする山中は焦ってしまう。
「ち、違うんです!俺がいやらしい目でしか女を見れないからいけないんです!」
必死で謝る。頭を下げて俯く冴香の顔が見えない。涙を流していそうで怖かった。
しかし下を向き、妖しげな笑みを浮かべていた事など、山中には知る由もなかった。