夕暮れ-1
ジュンは学校が終わると、格技館で道着を鞄に仕舞うと格技館を後にした。
今日は格技館のワックス清掃で部活が休みなのだ。久しぶりの早下校だが、ジュンにとって憂鬱であった。家には環が待っているからだ。
ジュンは少し寄り道をしたいと考えた。校門を出たジュンは、何所で時間を潰そうか考える。商店街も良い、が金がない、はたまた友達の家にでも、と思う、久しぶりに佳奈の家にでも厄介になろうとも考えた。だが考えはまとまらず、気付くとバス停小屋に来ていた。過ぎる記憶、嫌な思い出がまたジュンの心をかき乱した。
「ジュン君?」
心臓が高鳴った。ジュンはバス停小屋のベンチに目線をおくと、そこには真琴の姿があった。
「あ……」
ジュンは真琴の姿を見ると、二、三歩後ろに下がった。
真琴はベンチから立ち上がり、ジュンに近づく、ジュンの呼吸が乱れる。
「逃げないでジュン君、私から逃げないで……私のこと、怖いんでしょ」
真琴はジュンに近づくや言った。
「怖がってなんかいませんよ……僕は、僕はただ」
突然真琴に出くわした事で、頭がこんがらがるジュン、嫌なことに、このバス停で会うと、余計痛い気持ちが広がる。
「ただ?」
頭をかしげながら真琴が聞く、ジュンはたじろぎながら言った。
「ただ、真琴先輩に合わせる顔が無くて………」
「えっ、どうして、もしかして私のこと、軽蔑しているの?」
「け、軽蔑、まさか、軽蔑なんかしていませんよ。軽蔑されるのは僕の方です」
真琴はホッとした顔を見せた。バス停の軽率な行動や、真琴の噂がジュンの耳に入り、軽蔑し、避けていのだと思っていたからだ。