夕暮れ-4
ジュンは一人、右手を見詰め歩く、真琴の暖かな手の温もりが未だジュンの手に残る。
夕方の赤い畑道、久しぶりに夕方に帰るこの道、ジュンは夕方の畑道が好きになっていた。
目屋村に着いた頃、ジュンの前にトボトボと歩いている佳奈の姿があった。彼女は俯きながら歩き、身体の力が全て抜けたような歩き方をしていた。よく見ると、佳奈の制服は泥だらけで、ところどころ赤い血みたいなものが見える。
「お、おい、佳奈……」
ジュンは佳奈のその姿にビックリしながら彼女に声を掛けた。
「…………」
佳奈はジュンの声が聞えないのか、ジュンを無視している。
「おい、佳奈、どうしたんだよ」
ジュンは佳奈の肩に手をおき、言った。
「……触らないで………」
「えっ」
「触らないで!」
ッバシ!
佳奈は、ジュンの手を叩き払うと、走ってジュンから去って行った。
戸惑うジュン、今まで見たことのない佳奈の睨みつけた顔が、ジュンの目に焼き付いた。初めて見た幼馴染の怖い顔にジュンはただ戸惑うだけであった。
ジュンは佳奈の後ろ姿を見詰め、叩かれたヒリヒリと痛い手をさする。
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-つづく-