ジュン-2
同じだ私と、過剰評価され、周りの風当たりが強くなって、自分では覆すのが難しくて、ただ周りに翻弄されて、同じだ。でも何だろう、私と違う、何かが違う………自分の心をあからさまに出している?あんな所で大きな声を出して泣いていて、それが私には羨ましく感じて、その違い?
でも彼は本当に輝いて見える。何でだろう、私と違う………
「少しは落ち着いた?」
「うん、ありがとう………佳奈、僕はやっぱり弱虫だよ」
ああ、違うのは人に自分の弱い所を恥ずかしがらず言える所だ、自分を隠すことをしない子なんだ、私は自分を直ぐ隠して、逃げちゃうけど、彼は違う、隠していない、自分を隠していないんだ。
「ジュンちゃん、あのね、話しがあるんだ。そのね、あのね」
佳奈と言う娘が彼に話しづらい素振りで何かを言おうとしている、その素振りは何だか女の子を感じる。
「あのね、私ね……こ……」
「こ?」
「えっと、こくは」
その娘の言葉を遮るように、格技館から剣道部員が彼を呼ぶ声が聞えた。
「佐々木、集合だ」
彼は慌てて立ち上がり、首に掛けたタオルで顔を拭くと、女の子に、
「ごめん、今度話しを聞くよ、美術部終わったんだろ、先に帰っててよ」
と、言い格技館へ入っていった。一人残されたその娘は手をもじもじしながら彼の背中を見詰めている。本当に可愛い女の子だ。でもあの二人、付き合っていないように見える、同じクラスの娘なのかしら……でも、ジュンちゃんか、私も男の子にちゃん付けして呼んでみたいな。私は小さく呟いた。
「………ジュンちゃん」