憧れの人-8
「ちゃん付は止めてくれませんか、その、僕の名前ちょっと女っぽいから」
「ゴメン、冗談よ、ジュン君」
僕は彼女の方を振り向いた。彼女は僕に微笑み、僕は目線を下に逸らしながら言う。
「僕の住んでる所、ここから一キロ先の目屋村です」
「へー以外に部落なのね」
冗談でも言って欲しくない言葉だな、
僕はすねた口調で言った。
「部落じゃないですよ、そんなには……」
「そう、部落じゃないんだ、それなら今度紹介して、目屋村を」
「えっ、ええ、良いですよ」
何故か冗談っぽく聞こえる彼女の口調が、僕を不安にさせる。