憧れの人-5 彼女は髪を念入りにタオルで拭いている。が、そう簡単には乾かないだろ、なんせこの雨をまともに打たれたんだ。ハンドタオルじゃ間に合わないだろ、それでも彼女の手は髪を乾かす為、動いていた。その光景は猫が毛づくろいをするようで、可愛く見える。 「雨、止みそうに無いですね」 つい会話をしてしまった。失言の後の言葉としては、間の抜けた出だしだ。