初動-1
この世に貞子ちゃんがいないのなら、僕が作れば良い、そんな衝動が僕の心に広がる。あの少女だ!あの少女を僕の貞子ちゃんにしてしまえば良いんだ。僕の事を恨んで、恨んで、恨んで、恨んで、死ぬってほど恨んで、あの井戸に突き落とせば、きっと……
僕は小窓の前でニタリと笑った。
「……何、笑っているんですか?」
その声に僕はビックリしながら後ろを振り返った。そこには少女が立っていた。
気配の感じない娘だ。顔が黒髪で隠れているぶん薄気味悪く感じられる。
「君、君は人を恨んだ事はあるかい?」
少女はケタケタと笑いながら言った。
「……いえ、ありませんよ。……でも、一度恨んだら、…っと…ずっと、恨み続けて、最後に相手を殺すでしょう、…多分私は恨むのが得意だと思います」